「給与所得者の保険料控除申告書」の一番下「社会保険料控除・小規模企業共済等」の書き方

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目次

「保険料控除申告書の右下に『社会保険料控除』や『小規模企業共済等掛金控除』という欄があるけれど、ここには何を書けばいいの」

「毎月の給料から引かれている健康保険や厚生年金の金額を、給与明細を見ながら電卓で計算して書くべきなのか」

毎年、年末調整で「給与所得者の保険料控除申告書(マル保)」を書く際、もっとも多くの人が勘違いし、余計な計算をして間違った記入をしてしまうのが、この用紙の最下段・右下エリアです。

要点をまとめると、毎月の給料から天引きされている健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料は、この欄に「絶対に書いてはいけない(空欄でOK)」という一点に尽きます。

この欄は、給料天引き以外のルートで「あなた自身が自腹で直接支払った国民年金や国民健康保険」、または「iDeCo(個人型確定拠出年金)などの掛金」がある人だけが使う特別な記入枠なのです。

そして、この仕組みを正しく知っていると、「20歳になった子どもの国民年金を親が立て替えて払って年間約20万円の所得控除を受ける」「iDeCoの掛金を全額控除して毎年数万円の税金を取り戻す」といった、強力な節税メリットを享受することができます。

この記事では、保険料控除申告書の右下エリアの正しい書き方から、給料天引き分を書いてはいけない理由、自腹で払った国民年金・国保の申告手順、iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)の記入法まで、分かりやすく整理しました。


1. 結論:給料から天引きされている社会保険料は「記入不要(空欄)」

「給与所得者の保険料控除申告書」の一番下「社会保険料控除・小規模企業共済等」の書き方の制度・手続きイメージイラスト

まず、もっとも重要な大原則から解説します。

【あなたが払った社会保険料のタイプと記入要否】

パターンA:給料天引き分
(健康保険・厚生年金・
雇用保険・介護保険)
記入不要!完全に空欄でOK!
会社の給与システムが1年分を自動集計するため
あなたが手書きする必要は一切ありません。
パターンB:自腹で納付分
(自分で払った国民年金・
国保・子どもの年金立替)
ここに手書きで記入して申告する!
会社はこの支払いを知らないため、
申告書に書いて証明書を貼る必要があります。

給与明細を見て「1月から10月までの健康保険料を電卓で足して書こう」と苦労されている方が毎年たくさんいらっしゃいますが、その作業は一切不要です。会社側ですでに1円単位まで把握しているため、手書きで記入すると二重計上などのエラーの原因になってしまいます。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1130 社会保険料控除」では、次のように説明されています。
『納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族が負担することになっている国民健康保険の保険料(税)や国民年金の保険料などの社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について社会保険料控除を受けることができます』
出典:国税庁 タックスアンサー No.1130「社会保険料控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm

この条文が示しているとおり、控除の対象はあくまで「納税者本人が支払った」保険料です。給与や年金から天引きされている社会保険料は、勤務先や年金機構がすでに計算・納付を済ませているため、この申告書に重ねて書く必要がないというのが制度上の整理になります。

【現場のリアル】給与明細と電卓を前に固まった新人の話

ある会社の経理部に配属されたばかりの新人が、初めての年末調整で保険料控除申告書を渡されたときの話です。「社会保険料控除」という文字を見て、真面目な性格が災いし、4月から12月までの給与明細9か月分を机に並べ、健康保険料と厚生年金保険料の欄を電卓で一つずつ足し始めました。1時間近くかけて合計額を出し、意気揚々と申告書に書き込んで提出したところ、経理担当者から「これは書かなくていいところなんですよ」と苦笑いされたそうです。会社側の給与システムが年間分をすでに正確に把握しているため、本人が計算した数字を書いてしまうと、二重に控除されているように見えてかえって確認作業の手間を増やしてしまう。良かれと思ってやった作業が、結局は空欄に戻す羽目になったという、笑えないけれどよくある光景です。


2. 「社会保険料控除」欄に書くべき4大ケース(自腹で払った公的保険)

では、この欄には一体誰が、何を書くべきなのでしょうか。対象となるのは、以下の4つの具体的シチュエーションに当てはまる方です。

ケース1:20歳になった子どもの「国民年金」を親が代わりに払った場合(最強の節税技)

大学生や専門学校生など、20歳を迎えた子どもには国民年金の支払い義務が発生します。この保険料(年間約20万円)を、親の銀行口座やクレジットカードから立て替えて支払った場合、支払った親自身の年末調整で全額「社会保険料控除」として所得から差し引くことができます。

【子どもの国民年金立替による節税シミュレーション】
・親の年収:600万円(所得税率10%・住民税率10%)
・立て替えて払った子どもの年金:年間 20万円

---

-> 20万円 × 約20%(税率) = 約40,000円の税金がキャッシュバック

学生本人は所得がないため控除を使えませんが、収入のある親が支払って申告することで、世帯全体で年間約4万円もの節税になります。

【現場のリアル】申告を忘れて数万円を取りこぼした父親の話

ある会社員が、大学生の息子の国民年金を2年間、口座振替で立て替えて払い続けていました。年間約20万円、2年で約40万円という決して小さくない金額です。ところが本人は「これは息子名義の年金だから、自分の年末調整には関係ない」と思い込んでおり、保険料控除申告書の社会保険料控除欄には一切記入せずに提出し続けていました。3年目にたまたま経理の担当者から「お子さんの年金、お父様が払われているなら申告できますよ」と声をかけられて初めて気づき、慌てて過去2年分をさかのぼって還付申告することになったそうです。控除証明書のハガキは息子宛てに届いていたため「自分には関係ない書類」として引き出しにしまい込んでいたことが、そのまま数万円分の申告漏れにつながっていました。ハガキの宛名が誰であっても、実際にお金を払った人が申告できるという点を知らなかっただけで、毎年数万円を取りこぼしていたという、地味に痛い実例です。

ケース2:転職前の「無職期間」に自分で払った国民年金・国民健康保険

今年、前の会社を退職してから今の会社に入社するまでの間に「空白期間(無職期間)」があり、その間に役所から届いた納付書で国民年金や国民健康保険料を自分でコンビニや銀行で支払った場合です。今の会社はその支払い事実を知らないため、この欄に記入して控除を受けます。

ケース3:過去の未納分を「追納」した国民年金、または「前納(前払い)」した分

過去に学生納付特例などで免除されていた国民年金を今年まとめて追納した場合や、翌年以降の保険料を今年前納(2年前納など)した場合、今年実際に支払った金額の全額を社会保険料控除として申告できます。

ケース4:生計を一にする配偶者や親の国民健康保険料を自分が支払った場合

妻(夫)や同居・別居している親の国民健康保険料や介護保険料、後期高齢者医療保険料を、あなたの口座振替やクレジットカードで支払った場合、支払った本人の控除として申告可能です。


3. 「社会保険料控除」欄の具体的な書き方と記入例

「給与所得者の保険料控除申告書」の一番下「社会保険料控除・小規模企業共済等」の書き方の計算・シミュレーションイメージイラスト

用紙の右側中段にある「社会保険料控除」の記入枠の書き方です。

【社会保険料控除】

社会保険の種類保険の支払先
の名称
保険料を負担
すべき人の名
あなたとの
続柄
あなたが本年中に
支払った保険料の額
国民年金日本年金機構山田 太郎198,000 円
国民健康保険新宿区山田 一郎本人85,000 円
控除額の合計(この金額が全額所得控除される)283,000 円

記入のポイント

  1. 社会保険の種類。「国民年金」「国民健康保険」「国民年金基金」「介護保険」などと記入します。
  2. 保険の支払先の名称。国民年金なら「日本年金機構」、国民健康保険なら「〇〇市(役所名)」と記入します。
  3. 保険料を負担すべき人の氏名・続柄。子どもの年金を払った場合は、氏名に子どもの名前、続柄に「子」と記入します。
  4. 支払った保険料の額。今年1月1日から12月31日までに支払った合計金額を記入します。

添付が必要な証明書類

国民年金・国民年金基金の場合は、毎年10月から11月に日本年金機構から自宅に届く「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書(ハガキ原本)」の添付が法律上必須です。

国民健康保険・介護保険の場合は、領収証書や証明書の添付義務はありません(金額の記入だけでOKですが、支払額のメモや領収書を手元に確認して記入します)。


4. 「小規模企業共済等掛金控除」欄の書き方(iDeCo・企業型DC)

用紙の一番右下にあるのが「小規模企業共済等掛金控除」のエリアです。ここには、老後資金づくりのための公的私的年金制度に自腹で支払った掛金を記入します。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」では、次のように説明されています。
『小規模企業共済法の規定により独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金や、確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金及び個人型年金加入者掛金(iDeCo(イデコ)の掛金)などを支払った場合には、その支払った金額について小規模企業共済等掛金控除を受けることができます』
出典:国税庁 タックスアンサー No.1135「小規模企業共済等掛金控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm

【小規模企業共済等掛金控除】

[ 独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金 ]--- 円
[ 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金 ]
(企業型DCのマッチング拠出で給与天引き以外の場合)
--- 円
[ 確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金 ]
(ここが iDeCo の記入欄)
240,000 円
[ 心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金 ]--- 円
合計(控除額)240,000 円

iDeCoはどこに書けばいいのか

iDeCoの掛金は、上から3番目の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄に、今年支払った(支払う見込みの)年間掛金の総額を記入します。毎月20,000円積み立てている場合は「240,000円」と記入する、という単純な計算です。国税庁の説明にあるとおり、企業型DCの掛金欄やiDeCoの掛金欄は別枠として並んでいるため、どちらの制度に加入しているかを確認したうえで、該当する行にだけ書き込めば足ります。

添付書類:国民年金基金連合会の「払込証明書」

毎年10月下旬から11月上旬頃に、国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書(ハガキ原本)」を申告書の裏面に貼り付けて提出します。

参考・補足
iDeCoの掛金を「給料天引き(事業主払込)」にしている人は記入不要です。
iDeCoの掛金を個人の銀行口座からの引き落とし(個人払込)にしている人はこの申告書への記入が必要ですが、会社の給料から天引き(事業主払込)にしている人は、会社側で把握しているため記入不要(空欄)となります。

【現場のリアル】天引きなのに書いてしまい、二重申告になりかけた経理担当者の話

ある会社の経理担当者が、社員から提出された保険料控除申告書をチェックしていたときの話です。ある社員が、会社の給与から天引きされている企業型DCのマッチング拠出分と、個人の口座から別途払っているiDeCoの掛金の両方を、同じ「個人型年金加入者掛金」の欄にまとめて合算して記入していました。金額だけ見ると特に不自然ではなかったものの、給与台帳の天引き記録と突き合わせたところ、天引き分がそっくり重複して計上されていることに気づき、社員本人に確認を取って訂正してもらったそうです。給料天引きになっているか、個人払込になっているかで書くべき欄も金額も変わってくるため、天引きの給与明細を見ながら「これは書く必要があるものなのか」を一つずつ確認する手間を惜しむと、こうした重複が起きやすいという話でした。


5. 【職業・企業年金別】iDeCoの掛金上限額と節税メリット一覧

「給与所得者の保険料控除申告書」の一番下「社会保険料控除・小規模企業共済等」の書き方の完了・申告イメージイラスト

小規模企業共済等掛金控除の対象となるiDeCo(個人型確定拠出年金)は、あなたの勤務先の企業年金制度によって月々の掛金上限額が厳格に決まっています。

あなたの職業・勤務先の年金制度月額の掛金上限年間の掛金上限(控除枠)年収500万円の人の年間節税額
自営業・フリーランス(第1号被保険者)68,000円816,000円約 163,200円 / 年
企業年金のない会社員(第2号被保険者)23,000円276,000円約 55,200円 / 年
企業型DCのみ加入の会社員20,000円240,000円約 48,000円 / 年
確定給付企業年金(DB)加入の会社員12,000円144,000円約 28,800円 / 年
公務員(共済組合員)12,000円144,000円約 28,800円 / 年
専業主婦・主夫(第3号被保険者)23,000円276,000円※本人の所得税非課税

iDeCoの最大の特徴は、一般的な生命保険料控除(上限4万から12万円)と違って、「支払った掛金の100パーセント全額がそのまま所得から差し引かれる」という圧倒的な破壊力にあります。


6. 国民年金を「2年前納」した場合の申告テクニック(一括 vs 毎年分割)

国民年金を割引率の高い「2年前納(約39万円の一括払い)」で支払った場合、年末調整での控除申告方法には2つの選択肢があります。

【2年前納の申告パターン】
パターンA:支払った年に全額一括控除
 -> 支払った年の所得から「約39万円」を一気に控除。その年の税金をドカンと安くしたい人向け。

パターンB:各年に按分して控除(各年約19.5万円ずつ)
 -> 控除証明書ハガキに記載された各年分の金額を、2年間に分けて毎年申告。税率を均等に抑えたい人向け。

どちらを選んでも総控除額は同じですが、今年臨時収入や昇給で税率が高くなっている場合は「一括控除」、毎年安定した年収の場合は「毎年按分」を選ぶのが賢い方法です。


7. よくある質問(Q&A)

Q1. 子どもの国民年金を立て替えて払いましたが、証明書ハガキの名義は子どもの名前になっています。親の名前で出して大丈夫ですか

はい、問題ありません。控除証明書ハガキの名義が子どもの名前であっても、「その保険料を実際に支払ったのが親である」ならば、親の年末調整書類に子どもの名前のハガキをそのまま添付して申告できます。国税庁のタックスアンサーが示すとおり、控除の要件は「誰が支払ったか」であって「誰の名義の保険か」ではないため、税務署からも正式に認められている手続きです。

Q2. 国民年金の控除証明書ハガキを無くしてしまいました。どうすればいいですか

「ねんきんネット」から再発行申請するか、最寄りの年金事務所で即日再交付してもらえます。年金事務所の窓口へ身分証明書を持参すれば、その場で即日再発行が可能です。また、マイナポータルと連携していれば、電子的控除証明書(XMLデータ)を取得して提出することもできます。

Q3. 10月にiDeCoを始めたばかりで、11月の年末調整までに証明書ハガキが届きません

10月以降に新規加入した方は、ハガキの発送が12月や翌年1月になります。会社の年末調整の締め切りにハガキが間に合わない場合は、年明け2月16日以降に税務署へ確定申告(還付申告)を行うことで、iDeCoの控除分を全額キャッシュバックしてもらえます。

Q4. ふるさと納税の上限額を計算する際、iDeCoの掛金は影響しますか

はい、iDeCoの掛金の分だけ住民税所得割額が下がるため、ふるさと納税の限度額が数千円程度下がります。シミュレーションサイトでふるさと納税の上限を計算する際は、必ず「iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)」の年間掛金額を入力して正確な限度額を算出してください。

Q5. 給料天引きの保険料は書かなくていいのか、それとも念のため書いておいた方が安全か

書く必要はありませんし、むしろ書かない方が安全です。給料や公的年金から天引きされている健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料は、勤務先の給与システムがすでに1年分を正確に集計し、年末調整の計算に自動的に組み込んでいます。ここに重ねて金額を書いてしまうと、経理担当者から見れば「本当に別の支払いがあるのか、それとも天引き分の書き間違いか」の判断がつかなくなり、確認の連絡が来て手続きが余計に遅れる原因になります。迷ったら空欄のままにしておくのが、もっとも確実な対応です。


まとめ:右下エリアを正しく使いこなして手取りを増やそう

年末調整の用紙は、書くべきものと書かなくていいものを正しく見極めることが、最短で手続きを終わらせるコツです。自分の保険やiDeCoがどの欄に当てはまるのか分からない、計算ミスなく完璧な書類を一瞬で作りたいという方は、スマホで選択するだけで自動仕分け・書類作成ができる「書けた年末調整」をご利用ください。

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