年収1000万円の手取りはいくらか、所得制限の実態を検証

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目次

「念願の年収1,000万円に到達したのに、振込額を見たら思ったより全然少ない」

「配偶者控除が消えるらしいけれど、子どもの手当や学費の支援はどうなるのか」

年収1,000万円は、会社員のキャリアで一つの到達目標として語られる数字です。しかし実際にこのラインに乗った人の多くが直面するのは、額面の華やかさとは裏腹な手取りの少なさと、年収900万円台から効いてくる所得制限です。年収1,000万円(独身または片働き世帯)の手取りは、所得税・住民税・社会保険料を差し引いたあとでおおむね710万円から730万円になり、年収の3割近くが天引きで消えます。さらに配偶者控除の段階的な縮小と給与所得控除の頭打ちが、この年収帯を境に今も現役で直撃します。一方で、かつて同じ文脈で語られていた児童手当と高校無償化の所得制限は、制度改正によってすでに撤廃されています。この記事では、年収1,000万円の手取りと天引きの内訳、今も残る所得制限とすでに消えた所得制限の区別、そして高い税率を逆手に取った資産防衛策を、国税庁・文部科学省・こども家庭庁・総務省の公式情報にもとづいて整理しました。


1. 年収1000万円の手取り額と天引きの内訳

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年収1,000万円(独身または片働き世帯)の手取りは、天引き総額がおよそ280万円から300万円になるため、実際の年間手取り額はおよそ710万円から730万円、手取り率にして約7割にとどまる。

項目年間の天引き額内容
額面給与年収10,000,000円会社からの総支給額
所得税約85万円〜95万円限界税率23%〜33%が適用される
住民税約60万円〜65万円翌年6月から一律10%の税率で天引きされる
社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)約135万円〜145万円標準報酬月額が上限に近づくため高止まりする
天引き総額合計約280万円〜300万円年収の約3割が天引きされる計算になる
年間の手取り額約710万円〜730万円月あたりの手取りはおよそ45万円〜48万円(賞与除く)

毎月の手取りが45万円前後あっても、都内でファミリー向け住宅の家賃や住宅ローン返済、子どもの教育費を払うと、貯蓄に回せる金額は額面の割に多くない、というのが年収1,000万円世帯の実感です。

1-1. 所得税はいくら引かれるか、給与所得控除195万円の壁

年収1,000万円の所得税は年間およそ85万円から95万円で、適用される限界税率はおよそ23%から33%になる。

年収850万円を超えると、給与所得控除額は195万円で頭打ちになり、それ以上収入が増えても控除額は増えません。増えた給料がそのまま高い税率の対象になるため、年収850万円を超えたあたりから所得税の伸び方が急に重くなります。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1410 給与所得控除」では、次のように定められています。
『給与等の収入金額が850万円を超える場合には、給与所得控除額は195万円が上限となります』
出典:国税庁「No.1410 給与所得控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

#### 【現場のリアル】年収1,000万円を超えたのに手取りの伸びに落胆した話

昇進して額面年収が900万円台から1,000万円台に乗った瞬間、手取りも一気に増えるはずだと思い込んでいた会社員の話です。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄を前年と見比べたところ、額面は100万円近く増えているのに、控除後の金額の伸びが明らかに鈍っていることに気づきました。経理担当に理由を尋ねたところ「給与所得控除は850万円を超えると195万円で頭打ちになるので、それより上の所得は控除の恩恵なしにまるごと課税される」と説明され、腑に落ちたと同時に脱力したそうです。

本人は「額面が増えるほど税率も上がっていく感覚は知っていたつもりだったが、控除まで増えなくなるとは思っていなかった」と振り返っています。1,000万円プレイヤーになれば生活が楽になると思っていたのに、住宅ローンと子どもの習い事の支払いを済ませると、正直900万円台の頃とそこまで余裕は変わらなかった、というのが本人の実感でした。この経験をきっかけに、翌年からiDeCoの上限拠出とふるさと納税の限度額いっぱいの活用を始めたといいます。

1-2. 住民税はいくら引かれるか、一律10%のルール

年収1,000万円の住民税は年間およそ60万円から65万円で、所得税のような累進税率ではなく、所得に関わらず一律10%(道府県民税4%+市町村民税6%)で計算される。

住民税は前年の所得を基準に翌年6月から天引きが始まる後払いの仕組みのため、賞与や残業代が多かった年の翌年は、6月からの住民税負担がその分重くなります。

1-3. 社会保険料はいくら引かれるか、上限に近づく保険料

年収1,000万円の社会保険料(健康保険・厚生年金保険・雇用保険の合計)は年間およそ135万円から145万円で、標準報酬月額が保険料の上限に近づくため、年収900万円台からの伸び方が緩やかになる。

厚生年金保険料には標準報酬月額の上限があり、健康保険料にも協会けんぽや健康保険組合が都道府県ごとに定める上限があります。年収1,000万円クラスはこの上限に近い水準で保険料が計算されるため、所得税や住民税ほど際限なく増えるわけではありませんが、それでも天引き額の中で最も大きな割合を占めます。


2. 年収900万円台から直撃する所得制限、今も残る壁とすでに消えた壁

年収900万〜1,000万円を超えると、配偶者控除の縮小・消滅と給与所得控除の頭打ちは今も現役の壁として直撃する。一方で、かつて同じ文脈で語られた児童手当と高校無償化の所得制限は、制度改正によってすでに撤廃されている。

以前は「配偶者控除・児童手当・高校無償化」の3つがまとめて高年収世帯の壁として語られることが多くありましたが、現行制度ではこの3つのうち2つがすでに撤廃されています。制度改正の前後で情報が古いまま出回っているケースがあるため、まず現行制度を一つずつ正確に押さえておく必要があります。

2-1. 配偶者控除はどこで消えるか、900万・950万・1000万の壁

配偶者控除は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が900万円を超えると段階的に縮小し、1,000万円を超えると完全に消滅する。

納税者本人の合計所得金額一般の控除対象配偶者老人控除対象配偶者(70歳以上)
900万円以下38万円48万円
900万円超 950万円以下26万円32万円
950万円超 1,000万円以下13万円16万円
1,000万円超適用なし(0円)適用なし(0円)
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1191 配偶者控除」では、次のように定められています。
『控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除は受けられません。また、合計所得金額が900万円を超えると控除額は逓減し、950万円を超え1,000万円以下ではさらに縮小します』
出典:国税庁「No.1191 配偶者控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm

ここで注意したいのは、900万円・1,000万円というラインが「額面の給与年収」ではなく「給与所得控除を差し引いたあとの合計所得金額」だという点です。年収850万円を超えると給与所得控除は195万円で固定されるため、合計所得金額900万円は額面年収でおよそ1,095万円、合計所得金額1,000万円は額面年収でおよそ1,195万円に相当します。「年収1,000万円だからもう配偶者控除は関係ない」と思い込むのは早計で、実際に控除が完全に消えるのは額面年収がおよそ1,195万円を超えたあたりからです。

#### 【現場のリアル】配偶者控除が消えていることに源泉徴収票を見て気づいた話

パート勤めの妻を長年扶養に入れていたつもりで、年末調整の書類を毎年同じように書いていた会社員の話です。昇給を重ねて自分の合計所得が900万円のラインを超えた年、いつも通り「配偶者控除等申告書」に妻の情報を記入して提出したところ、経理から「今年から配偶者控除の額が減額になります」と告げられました。源泉徴収票の控除額の欄を確認すると、たしかに前年より少ない金額が印字されており、そこで初めて自分の年収側にも所得税法上の壁があることを知ったそうです。

「妻の収入は何も変わっていないのに、自分の給料が上がったせいで控除が減るとは思わなかった」と本人は話していました。実際に年末調整の結果を見ると、控除額が38万円から26万円に減ったことで、所得税と住民税を合わせて数万円分の負担増になっていたといいます。住宅ローンの繰上返済を計画していた矢先だったため、家計のシミュレーションを慌てて組み直す羽目になったそうです。配偶者控除は妻の年収だけ見ていればいいものだと思い込みがちですが、実は自分の年収側にも900万円・950万円・1,000万円という壁がある、という見落としやすい落とし穴です。

2-2. 給与所得控除の頭打ちも今も続く負担

給与収入が850万円を超えると給与所得控除は195万円で固定され、これは配偶者控除の壁とは別に、年収900万〜1,000万円台の会社員に恒常的にのしかかる負担になっている。

1-1で触れた通り、収入が増えても控除額が一切増えない仕組みのため、年収900万円を境に所得税の伸び方が重くなる要因の一つになっています。子どもの人数などに応じて適用される所得金額調整控除で一部緩和される場合もありますが、単身または子どものいない共働き世帯では、この頭打ちがそのまま負担として残ります。

2-3. 児童手当の所得制限は令和6年10月に撤廃されている

児童手当の所得制限は、令和6年10月分から撤廃されており、現行制度では年収にかかわらず児童手当を受け取ることができる。

かつては夫婦のうち収入が高い方の所得が一定額を超えると、児童手当の代わりに月額5,000円の「特例給付」となり、さらに所得が高い世帯は特例給付の対象からも外れるという所得制限がありました。令和6年10月分からはこの所得制限そのものが撤廃され、あわせて支給対象年齢が中学生(15歳到達年度末)までから高校生年代(18歳到達年度末)までに延長され、第3子以降の手当額が月額3万円に増額されるなど、制度全体が拡充されています。

【こども家庭庁の公式見解・1次情報】
こども家庭庁「児童手当制度のご案内」では、次のように説明されています。
『令和6年10月分から、所得制限を撤廃し、支給期間を高校生年代まで延長するなど、児童手当の抜本的拡充を実施しています。所得上限限度額以上により従来受給できなかった世帯にも、高校生年代までの児童について手当が支給されます』
出典:こども家庭庁「児童手当制度のご案内」 https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/annai/

#### 【現場のリアル】児童手当の振込額が減っていた頃の家計への衝撃

かつて年収960万円のラインを少し超えたタイミングで、児童手当の振込額がある月から急に減っていたという会社員の話です。通帳記帳をして初めて減額に気づき、当時は月額5,000円の「特例給付」に切り替わっていたことを知りました。子どもの習い事の月謝を児童手当でまかなう計画を立てていたため、想定外の目減りに家計のやりくりを一から見直す羽目になったといいます。

この所得制限は令和6年10月分から撤廃されているため、同じ年収でも今は当時のような減額を心配する必要がなくなりました。「あの頃は年収が上がるほど損をする気がして、正直複雑な気持ちだった」と本人は振り返っています。過去にこの壁にぶつかった経験がある家庭ほど、制度が変わったことを知らないまま「うちは対象外のはず」と思い込んでいるケースもあるため、一度現在の支給要件を確認しておく価値があります。

2-4. 高校無償化の所得制限も令和8年4月に撤廃されている

高等学校等就学支援金(高校無償化)の所得制限は、令和8年4月1日施行の法改正によって撤廃されており、現行制度では世帯年収にかかわらず公立・私立を問わず授業料相当分の支援を受けられる。

それまでは、両親のうち収入が高い方の年収がおよそ910万円を超える世帯は支援金の対象外でしたが、令和8年3月31日成立の改正法により、この所得要件そのものがなくなりました。あわせて私立高校(全日制)の支給上限額も引き上げられています。

【文部科学省の公式見解・1次情報】
文部科学省「高校生等への修学支援」では、次のように説明されています。
『令和8年度からの制度改正により、高等学校等就学支援金の所得制限が撤廃され、多くの生徒が授業料の支援を受けることができるようになりました』
出典:文部科学省「高校生等への修学支援」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm

高年収世帯にとって今も現役の負担は配偶者控除の縮小・消滅と給与所得控除の頭打ちの2つで、児童手当と高校無償化の所得制限はすでに過去のものになっている、というのが現時点での正確な現状です。

#### 【現場のリアル】高校無償化の対象外だった経験から申請をためらっていた話

長男が高校に進学した年、世帯年収が920万円だったために高等学校等就学支援金の対象外通知を受け取り、授業料を全額自己負担していた家庭の話です。数年後、次男が高校に進学するタイミングで令和8年4月の制度改正のニュースを目にしたものの、「上の子の時はダメだったから、下の子もどうせ対象外だろう」と最初から諦めて申請書類を出さずにいたそうです。

たまたま学校の担任から「今年から所得制限がなくなっているので、必ず申請してください」と声をかけられて初めて制度が変わったことを知り、慌てて申請したところ次男分は満額の支援を受けられることが分かったといいます。「制度が変わったことに気づかず、申請の機会を逃すところだった」と本人は話していました。過去に対象外だった経験がある家庭ほど、進学のたびに最新の所得要件を確認し直す必要があるという実例です。


3. 年収1000万円プレイヤーが実践すべき資産防衛策

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高い限界税率を逆手に取り、iDeCo・ふるさと納税・扶養親族の追加・住宅ローン控除・世帯年収の分散という5つの方法で手取りを守ることができる。

限界税率が23%から33%に達する年収1,000万円クラスでは、同じ1万円の所得控除でも、税率が低い層より還付・減税の効果が大きくなります。使える制度を確実に押さえておくことが、資産防衛の第一歩です。

防衛策内容効果の目安
iDeCoの満額拠出年27万6,000円(月2万3,000円)を拠出し、掛金全額を所得控除にする限界税率33%なら年間約9万円の負担軽減
ふるさと納税の上限活用控除上限額まで寄附し、自己負担2,000円で返礼品を受け取る生活費を年間十数万円分軽減
70歳以上の別居親を扶養に追加生計を一にする実家の親を老人扶養親族にする年間約15万〜20万円の税負担を軽減
住宅ローン控除のフル活用年末残高に応じた税額控除を漏れなく申告する所得税から直接数十万円を控除
世帯年収の分散(共働き化)夫婦で所得を分けて、それぞれの限界税率を下げる世帯手取りが年間数十万円増える試算

3-1. iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象になる

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、その年に支払った金額の全額が小規模企業共済等掛金控除として所得から差し引かれる。

企業年金のない会社員であれば、iDeCoの拠出限度額は月額2万3,000円(年間27万6,000円)が一般的な上限です。限界税率33%の層がこの上限まで拠出すると、所得税と住民税を合わせて年間9万円前後の負担軽減効果が見込めます。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」では、次のように定められています。
『納税者が確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金(iDeCo)などを支払った場合には、その支払った金額がその年分の所得から控除されます』
出典:国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm

#### 【現場のリアル】iDeCoの掛金を増やしたら還付額に驚いた話

限界税率が33%に乗ったタイミングで、なんとなく後回しにしていたiDeCoの掛金上限拠出をようやく決断した会社員の話です。月2万3,000円、年間27万6,000円の拠出を始めた初年度、年末調整の還付金額の欄を見て「本当にこんなに戻ってくるのか」と二度見したそうです。

所得税と住民税を合わせた実効税率が高い層ほど、掛金の全額所得控除の恩恵が大きくなる仕組みを、実際の還付金額を見て初めて実感したといいます。本人は「もっと早くから満額拠出しておけば、この数年間の還付額の差はばかにならなかった」と話していました。翌年からはふるさと納税のシミュレーターで自分の控除上限額も調べ、上限に近い金額を寄附するようになったそうです。

3-2. ふるさと納税は自己負担2000円で控除枠を使い切る

ふるさと納税は、寄附額のうち2,000円を超える部分について所得税と住民税から控除される仕組みで、控除上限額の範囲内であれば実質2,000円の負担で返礼品を受け取れる。

【総務省の公式見解・1次情報】
総務省「ふるさと納税のしくみ」では、次のように説明されています。
『ふるさと納税を行った場合、寄附額のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで所得税と個人住民税から全額が控除されます。控除額は、住民税の基本分(寄附額から2,000円を差し引いた金額の10%)、住民税の特例分、所得税の控除分で構成されます』
出典:総務省「ふるさと納税のしくみ」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

年収1,000万円で扶養家族がいない会社員の場合、ふるさと納税の控除上限額の目安はおよそ17万円前後になります。上限額は家族構成や住宅ローン控除・iDeCoの利用状況によって変動するため、ふるさと納税サイトのシミュレーターで毎年確認してから寄附するのが確実です。

3-3. 70歳以上の別居している親を扶養に入れる

70歳以上の親を扶養親族に追加すると、同居していない場合でも48万円の扶養控除(老人扶養親族)を受けられる。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1180 扶養控除」では、次のように定められています。
『控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人を老人扶養親族といい、同居を常況としている場合は58万円、それ以外の場合は48万円を控除します』
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm

年金収入が少ない実家の親がいる場合、生活費の一部を仕送りするなどして「生計を一にしている」実態があれば、同居していなくても扶養控除の対象にできます。限界税率33%の層であれば、48万円の控除で所得税と住民税を合わせて年間15万円前後の負担軽減が見込めますが、親自身の年金収入が一定額を超えている場合は所得要件を満たさず扶養に入れられないため、事前に親の年金収入額を確認しておく必要があります。

3-4. 住宅ローン控除をフル活用する

住宅ローンを組んでいる場合、年末残高の一定割合が所得税から直接差し引かれる住宅ローン控除を最大限活用することで、数十万円単位の税額控除を受けられる。

住宅ローン控除は所得控除ではなく税額控除のため、限界税率にかかわらず一定の効果が得られる制度です。年収1,000万円クラスで住宅ローンを組んでいる場合、他の控除と重複して適用できるため、確定申告や年末調整での申告漏れがないか毎年確認しておく価値があります。

3-5. 世帯年収を分散するという選択

同じ世帯年収1,000万円でも、1人で稼ぐより夫婦で分散して稼いだ方が、税率が低く抑えられるため世帯全体の手取りが多くなる。

世帯のパターン内訳世帯手取りの目安
片働きで年収1,000万円夫1,000万円、妻0円約710万円〜730万円
共働きで世帯年収1,000万円夫500万円、妻500万円約790万円前後

これは所得税が累進税率であるため、所得を2人に分散させると、それぞれの限界税率が低い区分に収まりやすくなることに加え、それぞれが基礎控除や給与所得控除を個別に使えるためです。世帯年収が同じでも、稼ぎ方によって世帯の手取りに数十万円単位の差が生まれます。


4. よくある質問

4-1. 年収1,000万円を超えても年末調整は受けられるか

年収1,000万円のサラリーマンは、通常どおり会社で年末調整を受けられる。年末調整を受けられなくなるのは年収2,000万円を超える人で、確定申告が必要になる基準とは異なる。

4-2. 副業を赤字にして節税するのは問題ないか

正当な事業実態があり、帳簿を保存したうえでの赤字であれば損益通算は可能だが、経費を水増しした形式的な赤字申告は税務調査で重加算税の対象になるため避けるべきである。

事業所得として認められるかどうかは、継続性や営利性など実態にもとづいて判断されます。副業の赤字を給与所得と損益通算する場合は、帳簿書類を整え、経費の実態を説明できる状態にしておく必要があります。

4-3. タワーマンション節税は今も使えるか

令和6年1月から、市場価格と相続税評価額の乖離を是正する新しい評価ルールが導入されており、以前ほどの節税効果は見込めなくなっている。

高年収層や富裕層が相続税対策として活用してきたタワーマンション節税は、国税庁が通達を改正し、市場価格の乖離が大きい場合には評価額を補正する仕組みが導入されました。資産防衛の手段は税制改正によって効果が変わるため、古い情報のまま実行しないよう、最新の制度を都度確認する必要があります。

4-4. 児童手当や高校無償化の所得制限は、本当にもうないのか

児童手当は令和6年10月分から、高校生等への就学支援金は令和8年4月1日施行の改正から、それぞれ所得制限が撤廃されており、現在は世帯年収にかかわらず対象になる。

過去に所得制限で対象外だった経験がある世帯ほど、制度が変わったことに気づかず「うちは無理」と思い込んで申請の機会を逃してしまうことがあります。子どもの進学や制度改正のタイミングで、一度最新の支給要件を確認しておく必要があります。


まとめ、年収1000万円の壁は控除の使い方で変わる

年収1000万円の手取りはいくらか、所得制限の実態を検証の完了・申告イメージイラスト

年収1,000万円の手取りは、天引き総額280万円から300万円を差し引いたあとでおよそ710万円から730万円になります。年収900万円台からは配偶者控除の縮小・消滅と給与所得控除の頭打ちが今も現役で家計を直撃しますが、児童手当は令和6年10月分から、高校無償化の所得制限は令和8年4月1日施行の改正から、それぞれ撤廃されており、以前の情報のまま「高年収世帯は対象外」と思い込む必要はありません。限界税率が23%から33%に達するこの年収帯だからこそ、iDeCoの満額拠出、ふるさと納税の上限活用、別居する70歳以上の親の扶養追加、住宅ローン控除、世帯年収の分散といった制度を一つずつ確実に使い切ることが、手取りを守る現実的な方法になります。

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