年末調整の時期が近づくと、保険会社から「生命保険料控除証明書」と書かれたハガキや封筒が届きますよね。しかし、いざ会社から渡された「給与所得者の保険料控除申告書」を目の前にすると、「どこに何を書き写せばいいの?」「新制度と旧制度って何?」「計算式が難しすぎてお手上げ…」と焦ってしまう方も多いはずです。
この記事では、保険会社から届いたハガキを見ながら、どこに・何を・どう記入すればいいのか、迷わず書けるように手順を徹底解説します。ハガキの数字をどの欄に書き写せばいいか一つずつ確認しながら進めれば、面倒な生命保険料の計算も途中で手が止まることなく終わります。
1. まずは準備!手元に揃えておくべき書類

書き始める前に、以下の2つを手元に準備しましょう。
- 給与所得者の保険料控除申告書
会社から配布される年末調整の書類の一つです。生命保険や地震保険などの控除を受けるために記入します。
- 生命保険料控除証明書(ハガキや封書)
10月〜11月頃に各保険会社から送られてくる書類です。複数加入している場合は、すべて手元に集めてください。
ポイント
ハガキには「証明額(これまでに支払った額)」と「申告額(12月末までに支払う予定の総額)」の2種類が記載されていることが多いです。年末調整で記入するのは「申告額(本年中に支払う金額)」の方ですので、間違えないように印をつけておきましょう。
2. 生命保険料控除の3つの区分(一般・介護医療・個人年金)
申告書の左側「生命保険料控除」の欄は、大きく3つのブロックに分かれています。ハガキを見て、それぞれの保険がどの区分に該当するかを仕分けましょう。
| 区分 | どんな保険?(例) | ハガキでの見分け方 |
|---|---|---|
| 一般の生命保険料 | 死亡保険、定期保険、終身保険、学資保険など | 「一般」「一」などの記載あり |
| 介護医療保険料 | 医療保険、がん保険、介護保険など | 「介護医療」「介」などの記載あり |
| 個人年金保険料 | 個人年金保険(税制適格特約がついているもの) | 「個人年金」「年」などの記載あり |
ハガキの「適用制度」や「証明区分」という欄を見ると、どのブロックに記入すべきかが必ず書いてあります。
3. ステップで解説!保険料控除申告書の具体的な書き方

仕分けが終わったら、いよいよ申告書に記入していきます。上から順にハガキの情報を書き写すだけです。
ステップ1:保険会社名や保険の種類を書き写す
申告書のそれぞれのブロック(一般・介護医療・個人年金)に、ハガキを見ながら以下の項目を記入します。
- 保険会社等の名称:「〇〇生命」など。長ければ「〇〇生保」と略してもOKです。
- 保険等の種類:「終身」「定期」「医療」など、ハガキに書いてある通りに記入します。
- 保険期間等:「終身」「10年」などを記入。
- 保険等の契約者の氏名:あなた(または配偶者など、契約している人)の名前。
- 保険金等の受取人:受取人の氏名と、あなたとの続柄(妻、子など)を記入します。
ステップ2:「新・旧」の区分に丸をつける(最重要!)
ここが間違えやすいポイントです。保険を契約した時期によって「新制度」と「旧制度」に分かれます。
ハガキに「新」または「旧」と必ず記載されているので、申告書の「新・旧の区分」の該当する方に〇をつけます。
- 新制度:平成24年(2012年)1月1日以後に契約した保険
- 旧制度:平成23年(2011年)12月31日以前に契約した保険
ステップ3:本年中に支払う金額を記入する
ハガキに記載されている「申告額(12月末までに支払う予定額)」を、「あなたが本年中に支払った保険料の金額(分配金等控除後の金額)」の欄に記入します。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」では、新契約・旧契約の区分について次のように定められています。
『新契約とは、平成24年1月1日以後に締結した保険契約等をいい、旧契約とは、平成23年12月31日以前に締結した保険契約等をいいます』
出典:国税庁 タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
【現場のリアル】新・旧を見落として控除額が目減りしていた話
経理歴の長い総務担当者に聞くと、この新旧の区分違いによる書き損じは毎年一定数出てくるそうです。特に多いのが、20代の頃に契約した医療保険や学資保険を、何年も前年の申告書を見ながらそのまま丸写ししてしまうケース。保険会社が途中で契約内容を切り替えていて、証明書には「新」と印字されているのに、「去年も旧だったから」という思い込みで旧制度の欄に記入してしまう。旧制度なら上限5万円まで控除できるつもりでいたのに、実際は新制度の上限4万円しか適用されず、還付額が数千円単位で目減りしていた、という相談が総務窓口に持ち込まれることも珍しくありません。
ハガキに印字された「新」「旧」の文字は、前年の記憶を頼りにせず、その年届いた証明書で毎回見直す。これが唯一の防止策です。
ちょっと休憩:手書きや計算に疲れてしまった方へ
こんな複雑な計算や手書きの書類作成も、クラウド年末調整システム『書けた年末調整』ならスマホで質問に答えるだけで終わります。ハガキを見ながら金額を入力するだけで、面倒な「新・旧の計算」や「控除額の算出」を自動でやってくれるので、電卓を叩き直す手間も書き直しの手戻りもありません。年末調整の負担を減らしたい方は、会社の担当者に『書けた年末調整』の導入を相談してみると話が早いはずです。
4. 【最難関】控除額の計算手順をマスターしよう
記入が終わったら、申告書の下部にある「計算式I(新制度用)」と「計算式II(旧制度用)」を使って、控除額を計算します。
電卓を用意して、順番に計算していきましょう。
① 「一般の生命保険料」の計算
- 新制度の合計額を計算:新制度に〇をつけた保険の金額を合計し、(A)欄へ。
- 旧制度の合計額を計算:旧制度に〇をつけた保険の金額を合計し、(B)欄へ。
- 計算式に当てはめる:
- (A)の金額を「計算式I(新制度用)」に当てはめて計算し、(②)欄へ(上限4万円)。
- (B)の金額を「計算式II(旧制度用)」に当てはめて計算し、(③)欄へ(上限5万円)。
- 新旧両方ある場合:(②)と(③)を足した金額を(④)欄に書きます(上限4万円)。※旧制度だけで申告した方が控除額が大きくなる場合は、有利な方を選べます。
#### 計算式の目安(新制度の場合)
| 支払った保険料の合計額 | 控除額の計算式 |
|---|---|
| 20,000円以下 | 支払った全額が控除額 |
| 20,001円〜40,000円 | (合計額 × 1/2) + 10,000円 |
| 40,001円〜80,000円 | (合計額 × 1/4) + 20,000円 |
| 80,001円以上 | 一律 40,000円 |
#### 計算式の目安(旧制度の場合)
| 支払った保険料の合計額 | 控除額の計算式 |
|---|---|
| 25,000円以下 | 支払った全額が控除額 |
| 25,001円〜50,000円 | (合計額 × 1/2) + 12,500円 |
| 50,001円〜100,000円 | (合計額 × 1/4) + 25,000円 |
| 100,001円以上 | 一律 50,000円 |
【国税庁の公式見解・1次情報】
上記2つの計算式は、国税庁タックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」に定める新契約・旧契約それぞれの控除額算出方法にもとづいています。旧制度は上限5万円、新制度は上限4万円と、上限額そのものが異なる点に注意してください。
出典:国税庁 タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
なお、地震保険料を支払っている場合は、この生命保険料控除とは別の欄に「地震保険料控除」として記入します。国税庁タックスアンサー「No.1145 地震保険料控除」のとおり、地震等損害部分の保険料を支払った場合に一定額の所得控除が受けられる制度で、生命保険料控除とは上限額も計算式もまったく別物です。出典:国税庁 タックスアンサー No.1145「地震保険料控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1145.htm
② 「介護医療保険料」の計算
介護医療保険には「旧制度」はありません。すべて「新制度」として計算します。合計額を出し、上記の新制度の計算式に当てはめて記入します(上限4万円)。
③ 「個人年金保険料」の計算
一般の生命保険料とまったく同じ手順で計算します。新制度・旧制度を分けて計算し、上限額も同じです。
④ 最後に全部を合計する!
- 一般の生命保険料の控除額(イ)
- 介護医療保険料の控除額(ロ)
- 個人年金保険料の控除額(ハ)
この3つを合計した金額を、一番下の「生命保険料控除額 計」に記入します。
ただし、3つの合計の最高限度額は「120,000円」です。計算結果が12万円を超えた場合は、「120,000」と記入してください。
【現場のリアル】電卓の桁がずれて再提出になった話
計算式Iと計算式IIを行き来しながら手計算していると、どこかで区分を取り違えてしまうことがよくあります。ある会社の総務担当者は、提出された保険料控除申告書の合計欄が証明書の金額と数千円ずれていることに気づき、本人に確認したところ「介護医療保険料の金額を一般の生命保険料の欄に足してしまっていた」ことが判明したそうです。区分を間違えると計算式自体は合っていても最終的な控除額が変わってしまうため、締切間際は同じような確認作業が総務に集中し、電卓を片手に一件ずつ検算し直す羽目になります。
提出前に、区分ごとの小計と証明書に書かれた金額を一度突き合わせておく。この一手間だけで、締切前日に総務から呼び出される事態は避けられます。
5. よくある質問(FAQ)

Q. 妻(配偶者)や子供の保険料は控除できる?
A. はい、控除できます。契約者が妻や子供であっても、保険料を「あなた(給与所得者本人)」が実際に支払っている場合は、あなたの申告書に記入して控除を受けることが可能です。
Q. 控除証明書のハガキをなくしてしまったら?
A. すぐに保険会社に連絡して、再発行の手続きをしてください。手元に届くまでに時間がかかることがあるので、早めの対応が必要です。もし会社の提出期限に間に合わない場合は、会社の担当者に相談しましょう。
6. まとめ:生命保険料控除でお得に節税しよう!
保険料控除申告書は、パッと見ると文字が多くて難しく感じますが、基本は「ハガキを仕分けて、丸写しして、計算式に当てはめるだけ」です。この申告を正しく行うことで、払いすぎた税金が戻ってくる(還付される)大切な手続きですので、漏れなく記入しましょう。
- 生命保険料控除の新旧区分は国税庁タックスアンサー No.1140 の定義(平成24年1月1日が境目)で決まる
- 新制度は上限4万円、旧制度は上限5万円と、控除額の上限自体が違う
- 3区分(一般・介護医療・個人年金)を合計した最高限度額は120,000円
- 地震保険料控除(国税庁タックスアンサー No.1145)は別枠の控除なので、生命保険料控除と混同しない
「毎年この計算をするのが苦痛」「もっと簡単に終わらせたい」という方は、スマホでサクッと入力できるクラウド年末調整『書けた年末調整』の導入を会社に提案してみるのも一つの手です。証明書の数字を入れるだけで新旧の判定も控除額の計算も自動化されるので、電卓と首っ引きになる時間がなくなります。
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