「念願のマイホームを購入したけれど、住宅ローン控除の1年目は何をどうやって確定申告すればいいのか分からない」
「法務局や不動産屋、銀行から届いたたくさんの書類の中で、確定申告に必要なものはどれなのか見分けがつかない」
マイホーム(新築・中古・マンション・建売)を購入したサラリーマンにとって、入居して最初の年に受け取る住宅ローン控除の還付は、生活の中でもまとまった金額が動く出来事です。
ただし住宅ローン控除は、入居した「1年目」だけは会社の年末調整では処理できず、必ず自分自身で税務署へ確定申告書を提出しなければなりません。2年目以降は勤務先の年末調整だけで済むため、1年目だけの特別な手続きだという点を、まず押さえておく必要があります。
法務局で取る登記事項証明書、不動産会社との売買契約書、銀行の年末残高証明書、省エネ性能証明書など、集めるべき書類は種類が多く、「何をどこで用意して、どの欄に入力すればいいのか分からない」まま提出期限が近づいて焦る人は少なくありません。この記事では、住宅ローン控除1年目の確定申告に必要な書類のチェックリストから、書類の取得先、スマホe-Taxでの入力手順、そして2年目以降の流れまで、国税庁の公式情報にもとづいて整理しました。
1. ひと目でわかる、住宅ローン控除1年目の必須書類チェックリスト

確定申告を始める前に、手元に揃えるべき書類の一覧です。
| 必要書類の名称 | 取得先・入手方法 | 書類の形式 |
|---|---|---|
| 住宅借入金等の年末残高証明書 | 住宅ローンを借りた金融機関(銀行) | 原本(ハガキまたはPDF) |
| 建物・土地の登記事項証明書 | 法務局(窓口・オンライン請求) | 原本または不動産番号の記載で省略可 |
| 不動産売買契約書/工事請負契約書 | 不動産会社・ハウスメーカー(契約時に交付) | コピーでよい |
| 給与所得の源泉徴収票 | 勤務先(12月〜1月に交付) | 電子データまたは原本 |
| 住宅省エネルギー性能証明書等(該当者のみ) | 建築士・登録住宅性能評価機関・ハウスメーカー | 原本またはコピー |
令和4年以降に新築した住宅は、原則として省エネ基準に適合していることを示す証明書がないと、住宅ローン控除そのものを受けられません。引き渡し時に渡された書類一式の中に証明書が紛れ込んでいることが多いため、確定申告の準備を始める段階で必ず確認しておく必要があります。
登記事項証明書については、実は原本を毎回添付しなくても済む制度があります。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「確定申告書等作成コーナー」のよくある質問「土地・家屋に係る登記事項証明書の添付省略制度」では、次のように説明されています。
『住宅借入金等特別控除を適用するためには、確定申告書に土地・家屋に係る登記事項証明書の添付が必要となりますが、土地・家屋の不動産番号を入力することにより、登記事項証明書の添付を省略することができます。』
出典:国税庁「確定申告書等作成コーナー よくある質問 土地・家屋に係る登記事項証明書の添付省略制度」 https://www.keisan.nta.go.jp/r5yokuaru/ocat2/ocat23/cid605.html
つまり登記事項証明書そのものを提出しなくても、証明書に書かれている「不動産番号」という十数桁の番号を入力すれば手続きが完了する仕組みです。ただし不動産番号を確認するためには、結局一度は登記事項証明書を取得して番号を控えておく必要があるため、書類自体を省略できるわけではない点には注意がいります。
【現場のリアル】法務局の窓口で登記事項証明書の取り方が分からず戸惑った話
新築の戸建てを購入したある会社員の方から聞いた話です。確定申告に登記事項証明書が要ると聞き、平日の午前中に休みを取って初めて法務局の窓口を訪れたそうです。ところが備え付けの申請書には「地番」を書く欄があり、自宅の住所(住居表示)とは違う番号だと窓口の職員に指摘され、その場で何を書けばいいのか分からなくなってしまったといいます。住所ではなく地番を調べるには、購入時の売買契約書や登記識別情報通知に記載された番号を見る必要があると教えてもらい、鞄の中の書類を漁って該当箇所を探し出し、ようやく申請書を書き終えたそうです。窓口の職員は慣れた様子で丁寧に教えてくれたものの、本人は「地番と住所が違うなんて知らなかった、事前に調べておけばよかった」と振り返っていました。土地と建物の両方を取得した場合は、土地と建物それぞれの証明書が必要になるため、地番と家屋番号の両方を事前に契約書で確認しておくと窓口でのやり取りがずっとスムーズになります。
2. 書類の取得場所と集め方のコツ
登記事項証明書(登記簿謄本)の取り方
最寄りの法務局の窓口へ行くか、法務省の登記・供託オンライン申請システムを使えば自宅からネットで請求して郵送で受け取ることもできます。手数料は窓口交付で1通600円、オンライン請求の郵送受取で500円程度です(手数料額は法務局の案内で必ず確認してください)。「建物」と「土地」の両方を購入した場合は、両方の全部事項証明書が必要になります。
銀行の年末残高証明書
毎年10月から11月頃にかけて、住宅ローンを借りた銀行から自宅へハガキで届きます。もし例年の時期を過ぎても届かない場合は、住所変更の届け出漏れや郵送事故の可能性があるため、早めに銀行のネットバンキングや窓口で再発行を依頼した方がよい書類です。
【現場のリアル】残高証明書が届かず焦って銀行に電話した話
住宅ローンを組んで最初の年末を迎えたある方の話です。周囲から「11月頃に銀行からハガキが届く」と聞いていたため待っていたものの、12月に入っても自宅のポストに何も届かず、確定申告に間に合わないのではと不安になって銀行のコールセンターに電話をかけたそうです。オペレーターに契約者情報を確認してもらったところ、実は住宅ローン契約時に登録した住所と、その後引っ越した現住所の情報が更新されておらず、証明書自体は旧住所宛てに発送されていたことが判明したといいます。結局、銀行のネットバンキングにログインしてPDF形式の残高証明書をダウンロードすることで事なきを得たものの、本人は「引っ越しをしたらローンの契約先にも住所変更を届け出るべきだったと初めて気づいた」と話していました。金融機関によってはネットバンキング上でいつでも証明書のPDFを取得できる場合があるため、郵送を待つより先にオンラインで確認してみる方が早いこともあります。
年末残高証明書に加えて、省エネ性能に関わる書類も見落としやすいポイントです。国税庁は令和4年以降に居住の用に供した新築住宅について、次のように説明しています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」では、省エネ基準に適合する住宅であることの証明について、建築士等が発行した「住宅省エネルギー性能証明書」または登録住宅性能評価機関が発行する「建設住宅性能評価書」の写しを確定申告書に添付する必要があると説明されています。
出典:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
この証明書がないと、そもそも省エネ基準適合住宅としての借入限度額(控除の対象となる残高の上限)が引き下げられてしまうため、住宅ローン控除の還付額そのものに直結する重要書類です。
【現場のリアル】省エネ性能証明書がハウスメーカーの引き渡し書類に埋もれていて見つからなかった話
注文住宅を建てたある方の話です。確定申告の準備を始めて必要書類を集めていたところ、住宅省エネルギー性能証明書だけがどうしても見当たらず、引き渡し時にハウスメーカーから渡された分厚いファイル一式を隅から隅まで探し直す羽目になったそうです。取扱説明書や保証書、住宅設備のパンフレットに紛れて、A4一枚の証明書がクリアファイルの奥に挟まっているのを見つけたときには、探し始めてから小一時間が経っていたといいます。本人いわく「これがないと控除の限度額が減るとハウスメーカーの担当者から念を押されていたのに、引き渡しの日はほかの説明に気を取られて右から左に流してしまっていた」とのことでした。引き渡しの際に受け取る書類はどれも似たような紙質と大きさで紛れやすいため、住宅省エネルギー性能証明書だけは受け取った当日のうちに別のクリアファイルに分けておくと、確定申告の時期に慌てずに済みます。
3. スマホで完結させる確定申告(e-Tax)の入力ステップ

国税庁の確定申告書等作成コーナーからスマホで申請する場合のおおまかな流れです。
【スマホ申請のステップ】
ステップ1: 「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、マイナンバーカードとスマホの読み取りで本人認証を行う。
ステップ2: 会社から交付された源泉徴収票をスマホカメラで撮影し、給与所得の内容を入力する。
ステップ3: 「住宅借入金等特別控除」の項目を選び、入居年月日、住宅の区分、床面積、取得対価等を入力する。
ステップ4: 銀行から届いた年末残高証明書の金額を入力し、計算された控除額を確認する。
ステップ5: 登記事項証明書(または不動産番号)、契約書の写し、省エネ性能証明書などをスマホカメラで撮影またはPDFで添付し、e-Taxで送信する。
国税庁の確定申告書等作成コーナー(https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top)を使えば、画面の案内に沿って金額を入力していくだけで住宅借入金等特別控除額の計算明細書が自動的に作成される仕組みになっています。マイナンバーカードを使った電子申告であれば、紙の書類を税務署へ郵送する手間もなく、自宅から提出まで完結します。
【現場のリアル】スマホのマイナンバーカード認証がうまくいかず何度もやり直した話
初めてスマホでe-Taxに挑戦したある方の話です。案内どおりにマイナンバーカードをスマホの背面にかざしたつもりが、読み取りエラーの表示が繰り返し出て、何度試しても認証が通らなかったそうです。最初はカードやスマホの故障を疑ったものの、調べてみるとICチップの位置がスマホの機種ごとに微妙に異なり、思っていたよりも上寄りの位置にかざす必要があったことが分かりました。さらにスマホカバーを装着したままだと反応が悪くなることもあり、カバーを外してからもう一度試したところ、ようやく認証が通ったといいます。本人は「事前にカードの読み取り位置を確認していれば、あれほど時間を取られずに済んだ」と話していました。マイナンバーカードの読み取りは機種依存性が高いため、うまくいかないときはカバーを外す、スマホを少しずつ動かして反応する位置を探す、といった基本的な確認から始めると解決することが多いようです。
4. 申告後の還付金の振込スケジュールと2年目以降の流れ
確定申告を提出した後の一般的なスケジュールです。
【申告後のおおまかな流れ】
・申告から数週間程度で、指定した銀行口座へ還付金が振り込まれる(申告方法や時期により前後する)。
・10月から11月頃、税務署から自宅へ、残りの控除期間分の年末調整用申告書がまとめて郵送される。
・2年目以降の年末調整では、届いた用紙を毎年1枚ずつ会社に提出するだけで手続きが完了する。
2年目以降に会社の年末調整で住宅ローン控除を受け続けるための書類についても、国税庁は次のように説明しています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」では、2年目以後の年分については、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書と、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書を提出することで、控除の適用を受けられると説明されています。給与所得者の場合は、税務署から送付される年末調整のための申告書と、金融機関から届く年末残高証明書を勤務先に提出すれば、年末調整の中で控除が反映されます。
出典:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
1年目に確定申告さえ済ませておけば、2年目以降は税務署から届く用紙と銀行の残高証明書を会社に渡すだけで済み、自分で確定申告書を作成する必要はなくなります。
5. よくある質問(Q&A)

Q1. 夫婦でペアローンを組んだ場合、確定申告は夫婦それぞれで行う必要がありますか。
A. はい。夫婦それぞれが自分名義の借入分について、それぞれ自分の確定申告書を1通ずつ提出する必要があります。どちらか一方がまとめて申告することはできません。
Q2. 確定申告の期限(原則3月15日)を過ぎてしまいました。
A. 税金が戻ってくる還付申告であれば、3月15日を過ぎても、対象となる年の翌年から5年間はいつでも提出できます。焦って不備のある申告をするより、書類を揃えてから落ち着いて提出する方が確実です。
6. 中古住宅・リフォームで購入した場合の追加必要書類
中古住宅を購入した場合や、増改築・リフォーム工事を行った場合は、次の追加書類が必要になることがあります。
- 中古住宅の場合。昭和56年12月31日以前に着工された建物では、耐震基準適合証明書または既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書が必要になる。
- リフォーム工事の場合。建築士等が発行する増改築等工事証明書、および工事請負契約書・領収書が必要になる。
対象となるかどうかは物件の建築時期や工事内容によって細かく条件が分かれるため、不安な場合は仲介した不動産会社や施工業者、あるいは税務署の相談窓口に事前に確認しておくと安心です。
まとめ、1年目を乗り切れば2年目以降は年末調整だけで済む
1年目だけは税務署への確定申告(スマホからのe-Taxも可能)が必須で、登記事項証明書、売買契約書、年末残高証明書、そして令和4年以降の新築なら省エネ性能証明書までを揃える必要があります。書類はどれも取得先がばらばらで、法務局での申請方法や省エネ証明書の保管場所など、実際に手を動かしてみないと分からないつまずきどころがいくつもあります。
スマホカメラで書類を撮影して添付すれば、税務署の窓口に足を運ばずに自宅で申告を完結させることもできます。そして最初の1回さえ乗り切ってしまえば、2年目以降は税務署から届く用紙を会社の年末調整に出すだけで、控除期間が終わるまで自動的に還付が続きます。
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