「12月の給与明細を開いたら、年末調整の欄に『▲28,000円』と印字されていた」
「同僚は数万円戻ってきたと喜んでいるのに、自分だけマイナスなのはなぜなのか」
年末調整は国がボーナスを配る仕組みではなく、1年間おおまかに天引きしていた所得税と、実際に納めるべき本当の税額とを、1円単位で合わせ直す精算手続きです。国税庁タックスアンサーNo.2662「年末調整のしかた」でも、この手続きの目的がそのまま条文的に説明されています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.2662 年末調整のしかた」では、次のように説明されています。
『会社など給与の支払者は、役員または使用人に対して給与を支払う際に所得税および復興特別所得税の源泉徴収を行っています。しかし、その年1年間に給与から源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額は、必ずしもその人が1年間に納めるべき税額と一致しません。このため、1年間に源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額と1年間に納めるべき所得税および復興特別所得税の額を一致させる必要があります。この手続を年末調整といいます。』
出典:国税庁タックスアンサー「No.2662 年末調整のしかた」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2662.htm
この記事では、還付金が数百円しか戻らない理由や追徴でマイナスになる4つの原因、給与明細と源泉徴収票の具体的な見比べ方、追徴額が給料の大部分を占めてしまった場合の救済措置までを、国税庁の一次情報と実際にあった現場のやり取りにもとづいて整理します。
1. 年末調整とは何か、還付と追徴の分かれ道

年末調整とは、1年間(1月から12月)に毎月天引きした所得税の合計額と、年間の給与総額から計算した本来の税額とを照合し、差額を12月給与で精算する手続きです。この精算は会社の任意ではなく、法律で義務づけられた処理になります。
【e-Gov法令検索・1次情報】
所得税法第190条(年末調整)は、次のように定めています。
『給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で(中略)その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合(中略)において、(中略)所得税の額の合計額がその年最後に給与等の支払をする時の現況により計算した(中略)税額に比し過不足があるときは、その超過額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収すべき所得税に充当し、その不足額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収してその徴収の日の属する月の翌月十日までに国に納付しなければならない。』
出典:所得税法第190条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
条文が定めているのは「面倒なら省略してよい任意の事務」ではなく、超過額は還付に充て、不足額は徴収して翌月10日までに国へ納付しなければならないという、期限つきの義務です。年末調整の結果は、次の2パターンのどちらかにしかなりません。
| パターン | 発生条件 | 12月給与での処理 |
|---|---|---|
| 還付(プラス) | 毎月の源泉徴収税額の合計が、年間の本来の税額より多かった | 払いすぎていた差額が現金で戻る |
| 追徴(マイナス) | 毎月の源泉徴収税額の合計が、年間の本来の税額より少なかった | 不足していた差額が給与から追加徴収される |
1-1. 還付になる仕組み、毎月の天引きは「概算」にすぎない
毎月の給与から天引きされる源泉徴収税額は、国税庁が公表している税額表にもとづく概算値であり、年末調整で初めて実額に置き換わります。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.2511 税額表の種類と使い方」では、毎月の源泉徴収について次のように案内されています。
『「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与については「甲欄」を、その他の人に支払う給与については「乙欄」を使って税額を求めます』
出典:国税庁タックスアンサー「No.2511 税額表の種類と使い方」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2511.htm
甲欄で計算される毎月の源泉徴収額は、扶養親族の人数などをもとにした「その月の給与だけを見た概算」でしかありません。年の途中で扶養家族が増えたり、生命保険料控除などの申告があったりすると、毎月払いすぎていた税額の差が積み上がり、12月にまとめて戻ってきます。
1-2. 追徴になる仕組み、少なく引かれていた分のツケが12月に回る
逆に、毎月の概算額が本来の税額より少なかった場合は、12月給与で不足分がまとめて天引きされます。毎月の税額計算が実態に近いほど12月の過不足額は小さくなるため、還付金が数百円程度になること自体は「毎月の計算が正確だった証拠」であり、異常事態ではありません。問題は、この概算と実額のズレが、扶養や年収の変化によって大きく開いてしまったケースです。
#### 【現場のリアル】12月25日、給与明細を開いた瞬間
12月25日の夕方6時過ぎ、オフィスの給湯室でスマホの給与明細アプリを開いた瞬間、画面に「年末調整 ▲31,400円」の文字が浮かんだ。手が一瞬止まる。隣の席の同期が「おれ4万戻ってきたわ、忘年会おごってよ」と笑っている横で、財布の中身を思い出しながら「なんで自分だけ」と声にならない声が漏れる。その場でスマホの電卓アプリを開き、手取りの見込みから31,400円を引いた数字を何度も確認したが、金額は変わらなかった。
翌朝、始業前に総務の窓口へ給与明細を見せに行くと、返ってきたのは「柳内さん、10月に奥様の扶養控除等異動申告書を出されてますよね。それで9月までの控除がなくなった分が、まとめて引かれてます」というひと言だった。ミスではなく、精算だった。拍子抜けするような説明だったが、10月に自分で提出した書類の内容を思い出すと、たしかに心当たりがあった。「引かれる理由が分かっているのと分かっていないのとでは、同じ31,400円でも受け止め方がまったく違う」と、後になって振り返っている。
2. 還付金がマイナス・追徴になる4大原因
年末調整で追加徴収が発生する原因は、大きく分けて次の4つに集約されます。
| 原因 | 具体的なきっかけ | 不足が生じる理由 |
|---|---|---|
| ①扶養家族の減少 | 子どもの就職・独立、配偶者の年収増による扶養離脱 | 扶養控除・配偶者控除の枠が年の途中で消え、控除不足分がまとめて精算される |
| ②賞与・残業代の急増 | 下期の賞与増額、繁忙期の残業代急増 | 所得税は累進課税のため、年収が上がった分だけ本来の税率区分も上がる |
| ③控除申告書の未提出 | 生命保険料控除・地震保険料控除・小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)等の申告書を出し忘れた | 控除額がゼロとして計算され、その分課税所得が増える |
| ④毎月の源泉徴収の概算誤差 | 給与体系の変更、扶養親族数の届出タイミングのズレ | 源泉徴収税額表はあくまで概算で、実際の年税額と月々ズレが生じる |
2-1. 原因①、扶養家族が年の途中で減った
配偶者や子どもが扶養から外れると、扶養控除や配偶者控除、配偶者特別控除の適用が年の途中から消えます。会社は年初の申告内容をもとに毎月の源泉徴収を計算しているため、扶養が外れた事実を反映した瞬間、それまで少なめに引かれていた税額の差が一括で精算されます。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1180 扶養控除」では、扶養親族の要件について次のように説明されています。
『控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます』
扶養親族そのものの要件としては、『納税者と生計を一にしていること』『年間の合計所得金額が48万円以下であること』などが挙げられています。
出典:国税庁タックスアンサー「No.1180 扶養控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
配偶者についても同様の年の途中変動が起こります。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1191 配偶者控除」では、控除対象配偶者の要件について次のように説明されています。
『控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です』として、『民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)』『納税者と生計を一にしていること』『年間の合計所得金額が58万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が123万円以下)』『青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと』の4条件が示されています。
出典:国税庁タックスアンサー「No.1191 配偶者控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm
配偶者の年収が123万円のラインを超えて配偶者控除の対象から外れても、配偶者特別控除(国税庁タックスアンサーNo.1195、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm)に段階的に切り替わる仕組みがありますが、控除額そのものは目減りするため、年初に申告していた見込み年収との差が大きいほど、12月の追徴額も大きくなります。判定はいずれもその年12月31日時点の現況で行われるため、年の途中で扶養親族等異動申告書を出し直しても、控除が消える境目自体は動きません。
2-2. 原因②、冬のボーナス・残業代の急増
所得税は累進課税のため、下期の賞与増額や繁忙期の残業代急増で年収が想定より上振れすると、本来適用されるべき税率区分そのものが上がります。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.2260 所得税の税率」では、次のように説明されています。
『所得税の税率は、分離課税に対するものなどを除くと、5パーセントから45パーセントの7段階に区分されています』
出典:国税庁タックスアンサー「No.2260 所得税の税率」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
毎月の源泉徴収はあくまで前月までの給与水準を基準にした概算のため、年収が急に伸びた分の税額差が12月にまとめて反映されます。特に賞与が想定より多かった年や、繁忙期の残業代が例年より多く積み上がった年は、年初の見込みで計算されていた源泉徴収額と、年末に確定する本来の税率区分との間に大きな差が生まれやすくなります。
2-3. 原因③、控除申告書を一切出さなかった
生命保険料控除や小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)は、会社に申告書と証明書類を提出して初めて適用されます。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」では、次のように説明されています。
『納税者が生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます』
控除額の上限については、『新契約と旧契約の双方について保険料控除の適用を受ける場合、または新契約の一般生命保険料控除、介護医療保険料控除および個人年金保険料控除の全部または一部について適用を受ける場合、その控除額は、上記1の計算式に基づき算出した金額の合計額(最高12万円)となります』とされています。
出典:国税庁タックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
iDeCo(個人型確定拠出年金)についても同様の申告漏れが起こりやすい項目です。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」では、次のように説明されています。
『納税者が小規模企業共済法の規定による共済契約に基づく掛金、確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金もしくは個人型年金加入者掛金または心身障害者扶養共済制度に関する契約に基づく掛金を支払った場合には、その支払った掛金の額について所得控除を受けることができます』
出典:国税庁タックスアンサー「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm
転職直後で証明書類が揃わなかった、締切に間に合わず出しそびれたといったケースでは、控除額がゼロとして計算され、その分課税所得が増えて税額も上がります。証明書のはがきが自宅に届いていること自体を忘れていたまま年末調整の締切を過ぎてしまう人も、実務ではめずらしくありません。
2-4. 原因④、毎月の源泉徴収の概算誤差
給与体系の変更や扶養親族数の届出タイミングのズレなど、会社側の運用要因で毎月の源泉徴収額が実態と乖離しているケースもあります。この場合も年末調整で必ず実額に精算されるため、追徴自体は制度上正常な処理です。
#### 【現場のリアル】妻の年収180万円、追徴28,000円のショック
10月上旬の火曜、総務の担当者に肩を叩かれ「柳内さん、扶養控除等異動申告書、奥様の見込み年収のところ確認してもらえますか」と声をかけられた。年初に提出した書類には「見込み年収100万円」と書いていたが、妻がパートのシフトを増やした結果、実際は180万円に届きそうだという。その場で「配偶者特別控除の対象にはなりますが、控除額は下がります」と説明を受け、頭の中で1月から9月までの源泉徴収額の差分がぐるぐる回った。
12月25日、実際の給与明細には「年末調整 ▲28,000円」の表示があった。妻に伝えると「頑張って働いた結果がこれか」と苦笑いされたが、家計簿をつけ直すと、妻の手取り増加分のほうが追徴額よりずっと大きかった。「控除が減ることと、世帯の手取りが減ることは別の話だと分かっていても、明細のマイナス表示だけを見た瞬間は、やっぱり一瞬ひやっとする」と話している。翌年からは、妻のシフトが増えた月の時点で総務に一声かけておくようにしたところ、12月の金額を見て驚くことはなくなったという。
3. 給与明細と源泉徴収票、どこを見れば根拠を追えるか

給与明細の「控除」または「支給」欄に記載される年末調整の表示は、次の2パターンで意味が異なります。
| 表示例 | 記載欄 | 意味 |
|---|---|---|
| 年末調整還付金 +25,000円 | 支給欄 | 払いすぎた税金が上乗せされ、手取りが増える |
| 年末調整過不足税額 ▲18,000円 | 控除欄 | 不足分が引かれ、手取りが減る |
金額の正誤を確認したい場合は、同時期に発行される源泉徴収票を手元に置き、次の3つの欄を上から順に照合するのが最も確実です。
| 確認順 | 源泉徴収票の欄 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 1 | 支払金額 | 1年間の給与・賞与の合計額。給与明細の支給累計と一致しているか |
| 2 | 所得控除の額の合計額 | 扶養控除・配偶者控除・生命保険料控除・社会保険料控除などの合計。年末調整で提出した申告書の内容と一致しているか |
| 3 | 源泉徴収税額 | 最終的に確定した1年分の所得税額。この数字と、毎月天引きされた税額の合計との差が、還付または追徴の金額になる |
とくに2番目の「所得控除の額の合計額」は、扶養親族の人数や生命保険料控除の申告漏れがそのまま数字に反映される欄です。想定より控除額が少ないと感じたら、まず自分が提出した扶養控除等申告書や保険料控除申告書の控えを見返し、記入漏れがなかったかを確認してください。会社によっては年末調整システムの入力画面から自分の申告内容を再確認できることもあるため、紙の控えが手元にない場合は、総務や労務担当に「自分が今年提出した申告内容を見せてほしい」と伝えれば、多くの場合すぐに確認できます。
4. 追徴額が給与を超える場合の救済措置
年末調整の不足額が大きく、12月の税引き手取り額が年間平均月額の70パーセント未満になってしまう人については、会社が税務署長の承認を受けたうえで、不足額を翌年1月と2月の給与に分けて徴収できる制度があります。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.2675 年末調整の過不足額の精算」では、不足額の徴収繰延について次のように説明されています。
『年末調整をする月分の給与から不足額を徴収すると、その月の税引手取給与(賞与がある場合には、その税引手取額を含みます。)が、その年1月から年末調整を行った月の前月までの税引手取給与の平均月額の70パーセント未満となるような人については』、「年末調整による不足額徴収繰延承認申請書」を提出することで、不足額を翌年1月と2月に繰り延べて徴収することができます。
出典:国税庁タックスアンサー「No.2675 年末調整の過不足額の精算」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2675.htm
4-1. 対象になるかどうかの目安
- その年1月から前月までの税引き手取り給与の平均月額を計算する
- 12月に不足額を一括徴収した場合の手取り額が、その平均月額の70パーセントを下回るか確認する
- 下回る場合、会社が「年末調整による不足額徴収繰延承認申請書」を税務署に提出する
4-2. 手続きの主体は会社、まず経理・総務に聞く
この手続きは従業員本人ではなく給与の支払者(会社)が税務署長の承認を受けて行うものです。追徴額が大きく生活に影響しそうな場合は、自己判断で放置せず、まず経理・総務担当に「分割徴収の対象にならないか」を確認するのが実務上の動き方になります。
#### 【現場のリアル】追徴8万円、手取りが半分以下になった月
転職して年の途中から給与体系が変わり、扶養控除等申告書の提出も1か月ほど遅れて処理された年があった。12月の給与明細に印字されていたのは「年末調整 ▲81,600円」という数字で、家賃と光熱費を引いたら口座に残る額がほぼゼロに近いことに気づき、給与明細のPDFを開いたまま数分固まってしまったという。
慌てて経理に電話をかけ、「この金額を今月中に払うのは正直厳しい」と伝えたところ、担当者から「不足額が大きい方向けに、1月と2月に分けて徴収する制度があります。対象になるか計算してみますね」という返答があった。数日後、平均月額の70パーセント基準に照らして対象になることが分かり、実際に12月・1月・2月の3回に分けて追徴額が天引きされることになった。「制度を知らずに一人で抱え込んでいたら、年末年始の支払いが本当に回らなくなっていたと思う。金額が大きすぎると感じたら、我慢せずにまず聞いてみるべきだった」と振り返っている。
5. 出し忘れた控除は、翌年の確定申告で取り戻せる

年末調整で申告し忘れた控除があっても、翌年の確定申告期間中に手続きをすれば、払いすぎた税金を取り戻せる可能性があります。とくに医療費控除は、そもそも年末調整の対象外の控除です。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」では、医療費控除の適用を受けるための手続きについて次のように案内されています。
『医療費控除に関する事項その他の必要事項を記載等した確定申告書を提出してください』
出典:国税庁タックスアンサー「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
ふるさと納税による寄附金控除も、ワンストップ特例の申請条件を満たしていない場合は確定申告が必要です。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」では、次のように説明されています。
ふるさと納税は、自分の選んだ都道府県、市区町村に寄附をした場合、寄附額のうち2千円を超える部分について、一定の上限まで所得税と住民税から原則として全額が控除されます。給与所得者等で確定申告が不要な人については、寄附先の自治体数が5団体以内である場合に限り、確定申告をしなくても寄附金控除を受けられる「ワンストップ特例制度」が利用できます。
出典:国税庁タックスアンサー「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm
年末調整で出し忘れた生命保険料控除や地震保険料控除、扶養控除の申告漏れについても、確定申告で追加で申告すれば、払いすぎた分を取り戻せる可能性があります。対象になるかどうかは個々の所得・控除状況によって異なるため、詳細は国税庁の公式ページで最新の要件を確認してください。
#### 【現場のリアル】2月の深夜、確定申告書と向き合う
2月中旬、夜10時を回ったリビングのテーブルで、ノートパソコンを開いてe-Taxのサイトにログインした。画面には源泉徴収票の数字を打ち込む欄が並び、隣には医療費の領収書を月ごとに輪ゴムでまとめた束が積んである。歯科治療で12万円、妻の出産関連で8万円、レシートの日付を一枚ずつ確認しながら入力していくと、還付予定額の欄に「43,200円」という数字が表示された。
12月の給与明細で見た「▲28,000円」の追徴を思い出しながら、「引かれた分よりちゃんと戻ってくるんだな」とつぶやいて、送信ボタンを押したのは日付が変わる直前だった。それまでは「医療費控除は面倒だから」と毎年見送っていたが、実際に手を動かしてみると、確定申告書等作成コーナーの案内に沿って源泉徴収票の数字を転記するだけで、想像していたより時間はかからなかったという。「年末調整で戻らなかった分は、確定申告でもう一度チャンスがあると知っているだけで、12月の追徴に対する構え方が変わった」と話している。
6. よくある質問
Q1. 還付金がマイナスになったのは会社の計算ミスではないか
源泉徴収票の「支払金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の3つを確認すれば、計算根拠を追えます。大半のケースは扶養の変更や年収増による正常な精算結果であり、単純な入力ミスは稀です。不安な場合は、国税庁タックスアンサーNo.2675「年末調整の過不足額の精算」の計算手順と照らし合わせたうえで、経理担当に確認するのが確実です。
Q2. 追徴された税金を取り戻す方法はあるか
医療費控除やふるさと納税等の寄附金控除、年末調整で出し忘れた生命保険料控除等がある場合は、翌年の確定申告期間中に税務署へ確定申告を行うことで、払いすぎた税金を取り戻せる可能性があります。対象になるかどうかは個々の所得・控除状況によって異なるため、詳細は国税庁の公式ページで最新の要件を確認してください。
Q3. 扶養から外れそうなとき、年内にできる対策はあるか
配偶者の年収が扶養の判定ラインに近づいている場合、年内であれば就業調整(勤務時間の調整)で年収を抑える選択肢があります。すでに扶養ラインを超えることが確定している場合は、配偶者特別控除(国税庁タックスアンサーNo.1195)の適用余地がないか、早めに総務・経理へ申告内容の見直しを相談するのが実務的な対応になります。
Q4. 追徴額が大きすぎて今月の生活が苦しい場合、分割にできないか
12月の税引き手取り額が年間平均月額の70パーセントを下回る場合は、会社が税務署長の承認を受けて、不足額を翌年1月・2月の給与に分けて徴収できる制度があります。この申請は従業員本人ではなく会社が行うものなので、金額が大きいと感じたら自己判断で放置せず、まず経理・総務に「繰延の対象にならないか」を相談してください。
Q5. 毎年ほぼ同じ額の還付や追徴が続くのは普通か
毎月の源泉徴収税額表による概算と、年末調整で確定する実額とのズレが小さいほど、還付・追徴の金額も安定して小さくなります。逆に扶養家族の人数や年収に変化がない年でも、賞与の支給時期や金額の変動によって毎年数千円単位の過不足が出ること自体は珍しくありません。金額が急に大きく変わった年だけ、原因(扶養・年収・控除申告の変化)を確認すれば十分です。
まとめ、年末調整の過不足の仕組みを理解して12月を迎える
年末調整は1年間の税金の過不足を1円単位で合わせる精算手続きであり、還付も追徴も制度上正常な結果です。毎月多めに引かれていた人は還付、少なめだった人は追徴になり、扶養家族の減少とボーナス・残業代の急増が、マイナス追徴の主な原因になります。追徴額が給与の大部分を占める極端なケースでは、翌年1月・2月への分割徴収が認められる場合があり、出し忘れた控除があれば、翌年の確定申告で税金を取り戻せる可能性も残っています。
給与明細と源泉徴収票を照合して、自分の年末調整がどのパターンに当てはまるかを把握しておくと、次の12月に同じ数字を見て慌てずに済みます。年末調整の書類作成をスマホで手早く終わらせたい方は、無料で使える「書けた年末調整」もあわせてご利用ください。