会社に年末調整の証明書を紛失された時、再発行の手順と責任

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目次

「会社に提出したはずの生命保険の控除証明書ハガキを、総務部が失くしてしまったと言われた」

「原本を会社に失くされた場合、再発行の手間や手数料はどうなるのか、会社側の責任はどこまであるのか」

11月に提出した年末調整の書類一式。12月になって突然、会社の総務・経理担当者から「提出いただいた保険の証明書が見当たらず、紛失してしまったようです、もう一度手配していただけますか」と言われて言葉を失うトラブルが実際に起きています。従業員に落ち度がないにもかかわらず、公的証明書の再収集を求められる状況です。

生命保険料控除証明書や国民年金保険料控除証明書の多くは、契約先のマイページやねんきんネットから電子データとして即日から数日で再取得できます。会社側にも従業員の個人情報を適切に管理する法律上の義務があるため、紛失の経緯を確認したうえで、必要な実費については会社と相談する余地があります。

この記事では、会社が証明書を紛失した場合に関わる法律上の考え方、各種控除証明書の再発行手順、会社への実費相談の伝え方、そして年末調整に間に合わない場合の確定申告での救済まで、公式情報にもとづいて整理しました。


1. 会社が証明書を紛失した時、何が問題になるのか

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従業員から預かった年末調整書類には、家族のマイナンバーや年収、加入保険の情報などが記載されており、会社にはこれらを適切に管理する法律上の義務があります。

【個人情報保護法の公式見解・1次情報】
個人情報保護法第20条(安全管理措置)は、次のように定めています。
『個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。』
出典:個人情報保護法第20条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057

さらに、年末調整で会社が受け取る扶養控除等申告書や保険料控除申告書といった書類は、税法上も一定期間の保存が義務づけられています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間」では、次のように案内されています。
『給与所得者の扶養控除等申告書、従たる給与についての扶養控除等申告書、給与所得者の配偶者特別控除申告書、給与所得者の保険料控除申告書、退職所得の受給に関する申告書、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書、給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書の提出を受けた源泉徴収義務者は、これらを申告書等の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存しなければなりません。』
出典:国税庁「No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2503.htm

つまり会社は、従業員から提出された申告書や添付の控除証明書について、個人情報保護法上は漏えい・滅失を防ぐ安全管理措置を講じる義務を負い、税法上は一定期間保存する義務を負っています。紛失はこの管理体制の不備によって起きている以上、従業員側に非はありません。

1-1. 紛失した経緯を確認しておくと後の相談がスムーズになる

紛失そのものへの対応と並行して、いつ・どの書類が・どういう経緯で見当たらなくなったのかを会社に確認しておくと、再発行にかかった実費を相談する際の説明がしやすくなります。

#### 【現場のリアル】紛失の連絡を受けて呆然としたが、まず経緯を確認して落ち着いた話

11月に提出した生命保険料控除証明書のハガキを、12月に入ってから「見当たらない」と総務担当者に告げられた30代の会社員の話です。提出した記憶ははっきりしているのに紛失を告げられ、最初は苛立ちを抑えられなかったといいます。ただ、感情的に問い詰めても仕方がないと思い直し、「いつ、どのタイミングで見当たらなくなったのか分かりますか」と落ち着いて尋ねたところ、担当者から「他の社員の書類と一緒に整理していた際、封筒ごと紛れ込んでしまった可能性が高い」という具体的な説明を受けられたそうです。経緯がはっきりしたことで、再発行の相談も「こちらに非がある前提で対応します」とスムーズに進み、「感情的にならずに事実確認から入ったのがよかった」と振り返っていました。


2. 各種証明書の再発行ルート、まず何をすべきか

紛失した証明書の種類によって、再発行の窓口と所要日数が異なります。次の一覧で、自分がどこに連絡すべきかを確認してください。

紛失した証明書再発行の窓口主な取得方法目安の日数
生命保険料控除証明書契約している生命保険会社契約者専用マイページからの電子データ取得、または再発行依頼マイページ利用なら即日、郵送依頼は数日から1週間
地震保険料控除証明書契約している損害保険会社契約者専用マイページからの電子データ取得、または再発行依頼マイページ利用なら即日、郵送依頼は数日から1週間
国民年金保険料控除証明書日本年金機構(ねんきんネット)ねんきんネットからの再交付申請電子送付で3から5営業日程度、郵送は申請から1週間程度
小規模企業共済等掛金払込証明書(iDeCo)国民年金基金連合会(加入している金融機関経由)再発行申請書の提出、またはマイナポータル連携郵送で1週間前後
住宅ローンの年末残高等証明書借入先の金融機関窓口またはネットバンキングからの再発行依頼金融機関により異なる、数日から1週間程度

保険会社と日本年金機構については、契約者本人がオンラインでログインできれば、その場で電子データとして証明書の内容を再取得できるケースがほとんどです。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「保険料に係る電子控除証明書の発行主体一覧」のページには、電子的控除証明書の発行に対応している生命保険会社・損害保険会社の一覧が掲載されています。
出典:国税庁「保険料に係る電子控除証明書の発行主体一覧」 https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/nencho_06.htm

2-1. 電子データを紙で会社に提出する必要がある場合

会社が紙の原本提出しか受け付けていない場合は、保険会社から取得した電子データをそのまま渡すのではなく、国税庁の「QRコード付証明書等作成システム」で印刷可能なPDFに変換する必要があります。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁の「QRコード付証明書等作成システムについてよくある質問」では、対象となる証明書は生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、寄附金の受領証明書の3種類とされています。国民年金保険料控除証明書や住宅ローンの年末残高等証明書はこのシステムの対象外です。
出典:国税庁「QRコード付控除証明書等とは何ですか。」 https://www.e-tax.nta.go.jp/toiawase/qa/qa-cps/01.htm

このシステムはパソコンでの利用が前提になっており、スマートフォンだけでは変換作業が完結しません。会社に紙で提出する必要があるのにパソコンが手元にない場合は、家族のパソコンを借りるか、会社に「電子データのままメールで提出できないか」を先に相談してみるのも一つの方法です。

#### 【現場のリアル】再発行した証明書をそのままメールで送ろうとして総務に止められた話

紛失を告げられた翌日、契約している生命保険会社のマイページから証明書のPDFをすぐにダウンロードし、「もう解決した」と安心して総務にそのままメールで送ろうとした会社員の話です。ところが総務担当者から「うちは紙の原本提出が必要なので、そのPDFを直接使うことはできません」と言われ、初めて国税庁のQRコード付証明書等作成システムという変換の手順が必要なことを知ったといいます。自宅にプリンターはあったものの、システム自体がパソコン専用でスマートフォンからは操作できず、結局ノートパソコンを開いてXMLファイルを読み込ませ、QRコード付きのPDFを作成してから印刷して提出しました。「電子データさえ取れればすぐ終わると思っていたのに、変換という一手間があることを知らなかった」と話していました。


3. 再発行にかかった実費、会社に相談できるか

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再発行の際に手数料や郵送代が発生した場合、その実費については会社の紛失が原因で生じた費用として、立替精算を相談できる余地があります。

証明書そのものの再発行は、多くの保険会社やねんきんネットで無料で行えますが、住宅ローンの年末残高等証明書のように金融機関によって再発行手数料が発生するケースもあります。前章で確認したとおり、会社には個人情報保護法上の安全管理措置義務があり、紛失は会社側の管理体制に起因する出来事です。実費が発生した場合は、まず領収書を保管したうえで、総務・経理の担当者に立替精算の相談を持ちかけるのが現実的な進め方です。

3-1. 会社への実費相談メールの文例

再発行にかかった実費を伝える際は、いつ・何を・いくらで再発行したかを簡潔に伝えるだけで十分です。

総務部 年末調整ご担当者様

お疲れ様です。[所属部署・氏名]です。

先日ご連絡いただきました「住宅ローン年末残高証明書」の紛失について、
借入先の金融機関に再発行を依頼し、本日手元に届きました。

その際、金融機関所定の再発行手数料(〇〇円)が発生しましたので、
領収書を添付いたします。恐れ入りますが、立替精算のご対応を
お願いできますでしょうか。

証明書自体は本状に添付のうえ、あわせてご提出いたします。
よろしくお願いいたします。

#### 【現場のリアル】実費の相談をためらっていたが、伝えてみたらあっさり精算してもらえた話

住宅ローンの年末残高等証明書を会社に紛失され、金融機関から再発行を受ける際に数百円の手数料がかかった30代女性の話です。「こんな小さな金額を会社に請求していいものか」としばらく迷い、結局は自腹で済ませようかとも考えたそうです。ただ、念のため経理担当者に事情だけでも伝えておこうと領収書を見せながら「再発行の際にこれだけ手数料がかかりました」と話したところ、「もちろんこちらのミスなので精算しますよ」とその場で立替精算の書類を渡されたといいます。「金額が小さいから言い出しにくいと思っていたが、伝えなければ会社側も把握できないままだった」と振り返っていました。


4. 12月の給与に間に合わなかった場合の対処

再発行の到着が遅れて12月の給与計算に間に合わなかった場合は、1月の給与での再年末調整、またはそれも難しければ確定申告で控除を反映させることができます。

会社の年末調整の締め切りに再発行が間に合わない場合の対処法は、次の2つです。

  1. 1月支給の給与に間に合うタイミングであれば、会社に依頼して「再年末調整」をしてもらう
  2. 年が明けて会社側の年末調整がすべて締め切られた後であれば、2月16日以降にe-Taxや税務署の窓口で確定申告をして、控除を反映させる

いずれの方法でも、払いすぎた税金は最終的に還付されるため、対応が遅れたこと自体で控除を受けられなくなるわけではありません。


5. よくある質問

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Q1. 会社が紛失したせいでマイナンバーなどの情報が漏えいしていないか不安です。

会社に対して、紛失の経緯と、外部への漏えいの有無について説明を求めることができます。個人情報保護法上、会社には安全管理措置を講じる義務があるため、漏えいの可能性がある場合は会社側から従業員への説明や、必要に応じて個人情報保護委員会への報告が行われることがあります。不安が大きい場合は、総務・人事の担当者に経緯の説明を求めてください。

Q2. 再発行した証明書を会社に出す際、何か気をつけることはありますか。

提出したことが記録に残るよう、メールで送る場合は送信控えを残し、紙で手渡す場合は受領印やメモをもらっておくと、同じトラブルが起きた際に提出済みであることを示しやすくなります。

Q3. 会社の紛失が原因で年末調整に間に合わなかった場合、控除自体を諦めることになりますか。

なりません。1月の給与での再年末調整、またはそれも難しければ2月16日以降の確定申告で控除を反映させれば、払いすぎた税金は還付されます。会社の紛失によって控除を受ける権利そのものが失われることはありません。


まとめ、会社の紛失でも控除を受ける権利は変わらない

会社が年末調整の証明書を紛失した場合、個人情報保護法上の安全管理措置義務や、国税庁が定める申告書等の保存義務に照らせば、管理体制の不備は会社側にあります。生命保険料控除証明書や国民年金保険料控除証明書の多くは、契約先のマイページやねんきんネットから電子データとして再取得でき、会社が紙の提出を求めている場合は国税庁のQRコード付証明書等作成システムで変換すれば対応できます。再発行にかかった実費は、領収書を残したうえで会社に立替精算を相談する余地があります。万一年内の再年末調整に間に合わなくても、確定申告をすれば払いすぎた税金は還付されるため、控除を受ける権利そのものが失われることはありません。

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