「年末調整の用紙で住所や数字を書き間違えてしまった。修正液や修正テープを使ってもいいのだろうか」
「二重線を引いて訂正印を押すのが正しいマナーと聞いたけれど、訂正印はシャチハタでも大丈夫なのか」
手書きで記入する年末調整の書類、扶養控除等申告書・基礎控除申告書・保険料控除申告書は、慎重に書いているつもりでも、氏名の一文字や保険料の金額を書き間違えるということが毎年どこかの職場で起きています。書き損じた瞬間、机の引き出しから修正液を出しかけて手が止まった、という経験がある方も少なくないはずです。
年末調整の書類に修正液や修正テープ、消せるボールペン(フリクション等)を使うのは、公的書類として無効になる恐れがあるため避けるべきとされています。国税庁が確定申告書の記載の手引きで示している正しい訂正方法は、間違えた文字に定規を使って二重線を引き、その上か横の余白に正しい内容を書き直すというものです。そして令和3年度の税制改正で税務関係書類の押印義務が原則廃止されたことにより、年末調整の申告書も押印欄のない様式に切り替わっていて、訂正印を持っていなくても二重線だけで処理できるケースがほとんどになっています。
この記事では、修正液がなぜ禁止なのかという理由から、二重線を使った訂正の具体的な手順、訂正印の要否、あまりにも書き間違えた場合の白紙用紙の入手方法まで、国税庁の公式情報と実際に総務・経理の現場で起きたやり取りを交えて整理します。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.2662 年末調整のしかた」には、次のように説明されています。
『会社など給与の支払者は、役員または使用人に対して給与を支払う際に所得税および復興特別所得税の源泉徴収を行っています。』
この源泉徴収税額と、本来1年間で納めるべき税額とのズレを年末に精算する手続きが年末調整であり、扶養控除等申告書などの用紙はその精算のための正式な公的書類です。だからこそ訂正の仕方にも、後から見て読み取れる状態を保つという明確な基準が国税庁側に存在します。
出典:国税庁 タックスアンサー「No.2662 年末調整のしかた」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2662.htm
1. ひと目でわかる年末調整書類の修正ルール早見表

年末調整の訂正で使ってよいのは二重線のみです。修正液・修正テープ・消せるボールペンはいずれも避けるべきとされています。
1-1. 修正方法別の可否一覧表
修正液・修正テープ・消せるボールペン・砂消しゴムはいずれもNG、二重線による訂正のみが国税庁の記載例に沿った正式な方法です。
| 修正方法 | 使用の可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 修正液・修正テープ | NG(使用を避ける) | 元の文字が読めなくなり、後から誰が何を書き換えたか分からなくなるため |
| 消せるボールペン(フリクション等) | NG(使用を避ける) | 摩擦熱やスキャナーの熱、経年劣化で文字が消えてしまうため |
| 砂消しゴム・カッターで削る | NG(使用を避ける) | 紙が薄くなったり破れたりして書類として扱いにくくなるため |
| 二重線+正しい文字の記入 | OK(正式な訂正方法) | 元の文字が読める状態のまま上書きする、国税庁の記載例に沿った方法 |
| 二重線+訂正印 | OK(会社の指示があればより丁寧) | 押印は法律上必須ではないが、社内ルールで求められる場合がある |
年末調整の用紙は、最終的に会社が集計して税務署や市区町村に情報を提出するための元になる書類です。「元は何と書いてあったか」が読み取れる状態を保つことが訂正の大原則で、白く塗りつぶしてしまう修正液はこの原則に反するため避けるべき、というのが実務上の共通認識です。
#### 【現場のリアル】「修正テープでいいですよね」と聞かれて即答できなかった話
11月上旬、始業直後の総務課でのことです。今年から年末調整の書類配布を任されたという担当者が、扶養控除等申告書を配ったばかりの社員から「名前の漢字を間違えて書いてしまったんですが、修正テープで直していいですか」と声をかけられたそうです。とっさに「たぶん大丈夫だと思います」と答えてしまったものの、内心では自分でも確信が持てなかったといいます。休憩時間に先輩へ確認したところ「それは違う、二重線で直してもらわないと後で困る」と指摘され、慌ててその社員に声をかけ直し、書類を回収して訂正をお願いする羽目になったそうです。「自分が最初に正しい答えを持っていれば、二度手間にならなかった」と反省していたと聞きました。
修正液・修正テープを避けるべき理由は感覚的なマナーの話ではなく、元の記載内容が読み取れる状態を保つという明確な基準があるためです。担当者側もこの基準を先に押さえておくと、こうした聞かれ方をした瞬間に迷わず答えられます。
2. なぜ修正液・消せるボールペンは避けるべきなのか、国税庁の記載ルールから確認する
国税庁は申告書について「消せるボールペンは使用しないでください」と明記しています。修正液・修正テープも同じ理由で避けるべきとされています。
2-1. 国税庁「申告書の記載例」が示す筆記具ルール
国税庁の記載例は、黒インクのボールペンで強く記入し、消せるボールペンは使わないことを求めています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「申告書の記載例」には、申告書の記入方法について次のように明記されています。
『申告書は、黒いインクのボールペンで、強く記入します(消せるボールペンは使用しないでください。)。』
出典:国税庁「申告書の記載例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/03/3_01.htm
これは確定申告書についての記載例ですが、年末調整の扶養控除等申告書や保険料控除申告書も同じ税務関係の申告書類であり、経理・総務の実務でもこの記載例に沿った運用が広く定着しています。避けるべき理由は次の2点に整理できます。
- フリクションのような温度で消えるインクは、会社の書庫やコピー機の熱、夏場の車内の暑さなどで意図せず文字が消えてしまう可能性がある。
- 修正液や修正テープは、白く塗りつぶすことで元の記載内容を追えなくしてしまい、「元は何と書いてあったか読み取れる状態を保つ」という訂正の考え方そのものと相性が悪い。
#### 【現場のリアル】修正液を出しかけて総務の先輩に止められた話
11月下旬、終業間際の17時40分ごろのことです。入社2年目の事務職の方が、扶養控除等申告書に配偶者の生年月日を書いていたところ、元号を間違えて「平成」と書くべきところを「昭和」と書いてしまったことに、記入し終えてから気づいたそうです。急いでいたこともあり、机の引き出しに入っていた修正液のキャップを開け、間違えた部分に塗ろうとしたところで、たまたま通りかかった総務の先輩から「あ、それ使っちゃだめ」と声をかけられたといいます。理由を聞くと、修正液で塗った書類は税務関係の控除証明としては扱いにくくなるので、会社では二重線で訂正するように決めていると説明されたそうです。結局その場で先輩の机から定規を借りて二重線を引き直し、上の余白に正しい元号を書いて事なきを得たものの、「もう少しで無効な書類を提出するところだった」と冷や汗をかいたと振り返っていました。
修正液そのものを使ったからといって即座に罰則があるわけではありませんが、会社によっては「書き直してください」と突き返されることもあります。慌てて塗る前に、まずは二重線という選択肢を思い出しておくと余計な手戻りを防げます。
3. 二重線での訂正、正しい引き方の手順

訂正は「間違えた文字に二重線を引き、余白に正しい内容を書く」の3ステップで完結します。訂正印は不要です。
3-1. 国税庁が示す訂正の記載例
国税庁の記載例は、訂正する文字を二重線で消し、余白に書き直す方法を公式に案内しています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「申告書の記載例」の訂正に関する案内には、次のように明記されています。
『訂正する場合は、記入例にならって、訂正する文字を二重線で抹消し、上の欄などの余白に適宜記入してください。』
出典:国税庁「申告書の記載例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/03/3_01.htm
3-2. 二重線の引き方3ステップ
二重線の引き方は「間違えた文字に二重線を引く」「余白に正しい文字を書く」「必要なら訂正印を押す」の3ステップです。氏名を「山田 次郎」と書くべきところを「山田 太郎」と誤って記入してしまった場合を例に、具体的な手順を確認します。
- 間違えた文字(太郎)の部分に、できれば定規をあてて黒いボールペンでまっすぐ二重線(=)を引く。フリーハンドで斜めに引くと、後から見たときにどこまでが訂正線か分かりにくくなるため、定規を使うのがおすすめです。
- 二重線を引いた文字の上、または近くの余白に、正しい文字(次郎)を丁寧に記入する。枠の外にはみ出す場合は、矢印を引いて「どこの訂正か」が一目で分かるようにします。
- 会社の規定で訂正印を求められている場合のみ、二重線の上に認印を押す。求められていなければ押さなくても問題ありません。
一文字だけの間違いであれば、その文字だけに二重線を引けば十分です。ただし住所や会社名のように複数の文字がひとまとまりになっている項目を訂正する場合は、単語や項目全体に二重線を引いて書き直したほうが、後から見たときに読みやすくなります。
#### 【現場のリアル】マイナンバーを1桁打ち間違えて青ざめた夜
日曜の夜9時過ぎ、リビングのテーブルで家族分の年末調整書類をまとめて書いていた方から聞いた話です。子どもの扶養控除等申告書の欄にマイナンバーを書き写していたところ、最後の1桁を隣の数字と打ち間違えて記入してしまい、封筒に入れる直前の見直しでようやく気づいたそうです。マイナンバーのような重要な番号を修正液で消していいものか判断がつかず、その場でスマートフォンで検索したところ、二重線で訂正して問題ないという情報にたどり着いたといいます。定規がなかったため、ものさし代わりに使っていた本の背表紙をあてて二重線を引き、番号全体を上の余白に書き直しました。「マイナンバーだから何か特別な処理が必要なのでは」と身構えていたものの、結局は他の項目と同じ訂正方法で問題なかった、とのことでした。
数字を1文字だけ直そうとすると、後から見て「どの桁を直したのか」が分かりにくくなります。マイナンバーや口座番号のように桁数が意味を持つ欄は、1文字ではなく番号全体に二重線を引いて書き直すほうが、確認する側にとっても親切です。
4. 訂正印は必要か、シャチハタでもいいのか
令和3年度税制改正により、税務関係書類の押印は原則不要です。年末調整の申告書も会社から指示がなければ訂正印は必要ありません。
4-1. 令和3年度税制改正で押印義務が原則廃止
国税庁は、担保提供関係書類など一部の例外を除き、税務関係書類の押印を不要としています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「税務署窓口における押印の取扱いについて」には、次のように明記されています。
『国税に関する法令に基づき税務署長等に提出される申告書等(税務関係書類)については、これまで提出者等の押印をしなければならないこととされていましたが、令和3年度税制改正により、令和3年4月1日以降、次に掲げるものを除いて、押印を要しないこととされました。』
(除外対象は、実印の押印と印鑑証明書の添付を求める担保提供関係書類等、ごく一部の書類に限られます)
出典:国税庁「税務署窓口における押印の取扱いについて」 https://www.nta.go.jp/information/other/data/r02/oin/index.htm
改正の要点は次の3点に整理できます。
- 令和3年4月1日以降、税務署長等に提出する申告書等は、担保提供関係書類等の一部を除き押印不要になった。
- 扶養控除等(異動)申告書も令和3年分から押印欄のない様式に切り替わっている。
- 令和2年分までは押印欄があった書式が、令和3年分以降は欄そのものがない書式に変わっている。
つまり、税務署のルールとしては「二重線を引くだけで訂正印は不要」というのが現在の標準的な扱いです。
4-2. 会社独自ルールがある場合の対応
国税庁のルールでは訂正印は不要ですが、社内規定で別途求められている場合はそれに従います。
これはあくまで国税庁側のルールの話であり、会社ごとの社内規定でこれとは別に訂正印を求めているケースもあります。総務・経理から特に指示がなければ二重線だけで提出して差し支えありませんが、指示がある場合はそれに従うのが無難です。なお、税務署に直接押印が必要な例外的な書類を提出する場面(担保提供関係書類など)では、実印に近い印鑑と印鑑証明書が求められることがあります。とはいえ、通常の年末調整で従業員が扱う申告書がこれに該当することはまずありません。
#### 【現場のリアル】訂正印はシャチハタでいいのか総務に確認した話
パート勤務を始めて2週間目、朝9時の始業前のことです。初めて年末調整の書類を書いたという方が、基礎控除申告書の所得金額の欄を書き間違え、二重線を引いて訂正したものの、休憩室で顔を合わせた先輩から「訂正印も押しておいたほうが無難だよ」と言われ、家にあった印鑑を持って翌日出勤したそうです。ただ、その印鑑がシャチハタ(インク内蔵の浸透印)だったため、公的な書類に使っていいものか不安になり、提出前に総務の窓口へ直接確認しに行ったといいます。担当者からは「うちの会社は二重線だけで訂正印自体を求めていないので、押さなくて大丈夫ですよ」と言われ、拍子抜けしたものの安心したとのことでした。会社によって運用が違うため、判断に迷ったら訂正印を用意する前に一言確認するほうが、無駄な準備をせずに済むという実例です。
5. 金額欄を間違えた場合の訂正、数字は1文字だけ直していいのか

金額欄は数字の一部だけでなく、枠全体に二重線を引いて全桁書き直します。1文字だけの訂正は改ざんを疑われる原因になります。
5-1. 金額欄の訂正例(誤記120,000円→正しくは150,000円のケース)
金額欄の訂正は、間違えた数字の一部だけでなく、枠内の金額全体に二重線を引き、上の余白に正しい金額を桁ごとすべて書き直します。一部の数字だけを消すと、後から見てどこをどう直したのか分かりにくくなるためです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誤って記入した金額 | 120,000円 |
| 本来書くべき正しい金額 | 150,000円 |
| NGな直し方 | 「1」の右にある「2」だけを消して「5」に直す。線が重なって読みにくくなり、改ざんを疑われる原因になる |
| 正しい直し方 | 「120,000」全体に二重線を引き、その上に「150,000」と改めて書き直す |
この方法であれば、誤りと訂正の範囲が誰の目にもはっきりします。
#### 【現場のリアル】保険料の金額欄を二重線だらけにしてしまった話
11月中旬、昼休みが残り5分となった自席でのことです。生命保険料控除証明書を見ながら申告書を記入していた方が、証明書に書かれている「一般の生命保険料」と「介護医療保険料」の欄を見間違え、金額を逆の欄に書いてしまったことに、控除額の計算をしている途中で気づいたといいます。慌てて数字を1桁ずつ二重線で消して書き直していたところ、欄全体が線だらけになってしまい、自分で見てもどこが最終的な数字なのか分からなくなってしまったそうです。結局、午後の始業チャイムが鳴る直前に、両方の欄の金額をまとめて二重線で消し、欄の外の余白に矢印を引いて「一般はこちら、介護医療はこちら」と書き添える形でなんとか体裁を整えて提出したとのことでした。あとから振り返って、最初から欄ごと二重線で消して書き直していれば、ここまで手間取らずに済んだはずだと話していました。
数字の訂正は、部分的に直そうとするほど見た目が煩雑になりがちです。金額欄は思い切って全体を消して書き直す、と決めておくと迷いが減ります。
6. 書き間違いが多すぎるときは国税庁サイトから白紙PDFを印刷して書き直す
訂正が3〜4箇所を超えたら、無理に二重線を重ねず国税庁サイトの白紙PDFを印刷して書き直すほうが確実です。無料でダウンロードできます。
6-1. 国税庁公式サイトで公開されている申告書PDF
国税庁の公式サイトには、年末調整で使う各種申告書のPDFが公開されており、誰でも無料でダウンロードして印刷できます。
【国税庁の公式情報】
国税庁「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)」のページでは、次の申告書がPDFで公開されています。
『扶養控除等申告書』『基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書』『保険料控除申告書』『住宅借入金等特別控除申告書』
出典:国税庁「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)」 https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/shinkokusyo/index.htm
6-2. 白紙用紙の入手・印刷手順3ステップ
白紙用紙は次の3ステップで入手できます。
- 検索窓に「国税庁 年末調整 申告書様式」と入力し、国税庁の公式ページを開く。
- 会社から配られた用紙と同じ種類の申告書(扶養控除等申告書、基礎控除申告書等)を選び、該当する年分のPDFをタップ、または画面上でクリックして保存する。
- 自宅のプリンターや、コンビニのネットプリントサービスでA4サイズ・白黒(片面)で印刷する。
会社から配られた用紙と全く同じ公的様式なので、綺麗に書き直して提出すれば、担当者に確認の手間をかけさせずに済みます。訂正線だらけの用紙を出すよりも、総務・経理側にとってもかえって読みやすく、確認作業がスムーズになるというメリットもあります。
#### 【現場のリアル】訂正しすぎて用紙が真っ黒になり、結局刷り直した話
年末調整の提出締切日、朝10時の受付開始直後のことです。経理の担当者が、ある社員から提出された扶養控除等申告書を確認したところ、氏名・住所・扶養親族の続柄・生年月日のほぼ全ての欄に二重線での訂正が入っていて、どこが最終的な記載内容なのか読み取るのに時間がかかってしまったそうです。本人に確認すると、家族の情報を思い出しながら書いていたら、記憶違いや漢字の変換ミスが重なって、気づけばあちこちに訂正線が入っていたとのことでした。経理側からは「ここまで直すなら、いったん白紙のものに書き直してもらったほうがお互い早いですよ」と伝え、国税庁のサイトからPDFをダウンロードして印刷し直してもらったところ、記載内容の確認は数分で終わったといいます。訂正が2箇所程度までなら二重線で十分ですが、それ以上になりそうな気配を感じたら、早めに書き直しに切り替えるという判断も現場では重視されています。
7. 提出前の最終チェック、汚れ・破損・折り曲げへの注意点
提出前は、インクの乾き・とじ方・破損の3点を確認すると安心です。会社側でのスキャナー読み取りに備えます。
7-1. 提出前チェックリスト
提出前のチェックポイントは、インクの乾き・とじ方・破損の3点です。会社へ提出した用紙はその後スキャナーによる読み取りや保管が行われることがあるため、次の点にも注意しておくと安心です。
- インクが完全に乾いてから他の書類と重ねる。乾く前に重ねると裏写りやにじみの原因になる。
- クリップやホッチキスの留め方は会社の指示に従う。指定がなければ、他の提出書類と同じ留め方に揃えておくと扱いやすい。
- 万が一用紙が破れてしまった場合は、裏側からセロハンテープで補修するか、目立つ破損であれば白紙のPDFを印刷して書き直す。
#### 【現場のリアル】書き終えた直後に封筒へ入れて、裏写りに気づいた話
12月上旬、提出締切の前日の夜のことです。日中は仕事が忙しく手をつけられなかったため、帰宅後にダイニングテーブルで一気に扶養控除等申告書と保険料控除申告書を書き上げたという方がいました。書き終えた達成感からそのまま封筒に重ねて入れ、翌朝そのまま提出したところ、経理担当者から「下の用紙にインクが写ってしまっているので、念のため書き直してもらえますか」と連絡が来て青ざめたそうです。急いでいたためインクが乾く前に重ねてしまったことが原因で、結局その日の昼休みに慌てて書き直す羽目になったといいます。「あと5分待ってから封筒に入れていれば」と悔やんでいたとのことでした。
書き終えた直後は安堵から急いで片付けたくなりますが、インクが完全に乾くまで数分置いてから重ねる、というひと手間を惜しまないほうが、結果的に手戻りを防げます。
8. よくある質問
金額欄の訂正、訂正の色、訂正印の要否、訂正箇所が多い場合の対応について、4つの質問にまとめて答えます。
8-1. Q&A一覧
総務・経理の窓口で実際によく聞かれる4つの質問に、1問ずつ具体的に答えます。
#### Q1. 金額の数字を1桁だけ間違えました。その数字だけ二重線で直せますか。
数字1文字だけでなく、その枠に入っている金額全体に二重線を引き、上の余白に正しい金額を全桁書き直すのが基本の考え方です(例:誤って「120,000」と書いた場合、120,000全体に二重線を引き、上に「150,000」と記入します)。数字の一部分だけを直そうとすると、後から見て訂正箇所が分かりにくくなるためです。
#### Q2. 黒以外のボールペン(青や赤)で訂正してもいいですか。
国税庁の記載例では黒いインクのボールペンで強く記入するよう案内されているため、訂正も含めて黒色のボールペンで統一するのが基本です。赤字は法定調書の無効・訂正分の表示など特定の用途で使われる色なので、通常の訂正には使いません。
#### Q3. 訂正印がどうしても手元にない場合はどうすればいいですか。
令和3年度の税制改正で税務関係書類の押印義務は原則廃止されているため、会社から特に指示がなければ訂正印なしでも問題ありません。社内規定で押印が求められている場合のみ、認印を用意してください。
#### Q4. 訂正した箇所が多くて用紙が見づらくなってしまいました。どうすればいいですか。
訂正箇所が3〜4箇所を超えるようであれば、無理に訂正を重ねず、国税庁のサイトから白紙のPDFをダウンロードして印刷し、最初から書き直すことをおすすめします。総務・経理側の確認もスムーズになります。
まとめ、二重線で正しく直して落ち着いて提出しよう
年末調整の書き間違いは、黒いボールペンで二重線を引いて余白に正しい内容を書き直せば、訂正印なしでも有効な書類として扱えます。要点を5つに整理します。
- 修正液・修正テープ・消せるボールペンは、公的な控除証明の元になる書類には向かないため避ける。
- 訂正は黒いボールペンで二重線を引き、上か横の余白に正しい内容を書き直す。これは国税庁の記載例に沿った方法。
- 令和3年度の税制改正で押印義務が原則廃止されたため、会社から指示がなければ訂正印は不要。
- 金額欄は数字の一部だけでなく、枠全体を二重線で消して書き直す。
- 訂正箇所が増えすぎたら、国税庁のサイトから白紙PDFを印刷して書き直したほうが確実で早い。
書き間違えたときほど、慌てて修正液に手を伸ばしたくなるものですが、落ち着いて定規と黒ボールペンで二重線を引けば、それで十分に正式な訂正になります。手書きの書き間違いに悩まされずスマホで一から入力し直したい方は、完全無料で使える「書けた年末調整」もあわせてご検討ください。