【失業保険と年末調整】ハローワークの基本手当は税金ゼロ!退職した年の確定申告と還付金計算

【失業保険と年末調整】ハローワークの基本手当は税金ゼロ!退職した年の確定申告と還付金計算のイメージイラスト
目次

「会社を退職してハローワークで失業保険をもらっているけれど、失業保険に税金ってかかるの」

「年の途中で退職して年末調整を受けられなかった場合、確定申告すれば税金はいくら戻ってくるのか」

会社を退職したサラリーマンが、次の仕事が見つかるまでの生活費としてハローワークから受給する「失業保険(雇用保険の基本手当)」。

年末が近づくと、「失業保険として口座に振り込まれたお金は、確定申告で税金を払わなきゃいけないのか」「年末調整をしていないけれど、どうすればいいのか」と不安になる方が非常に多いです。

先に要点だけお伝えすると、ハローワークから受け取る失業保険は、雇用保険法第12条によって租税その他の公課を課すことができないと定められている、完全非課税のお金です。

そのため失業保険の金額に所得税や住民税が1円もかかることはありませんし、確定申告書に失業保険の金額を書く必要も一切ありません(税務上は年収0円扱いです)。

さらに、年の途中で退職して12月31日時点で無職の人は、年明け以降に税務署へ確定申告(還付申告)を行うことで、退職するまでに給料から天引きされていた税金が現金で戻ってくるケースがほとんどです。

この記事では、失業保険が非課税になる法律上の根拠から、年の途中で退職した人の確定申告のやり方、退職後に自分で納めた国民年金・国保の控除の使い方、還付金の計算シミュレーション、そして実際に還付申告をした人たちのリアルな体験まで、国税庁の一次情報とあわせて整理しました。


1. 結論:失業保険は完全非課税。税務上の年収は0円扱い

【失業保険と年末調整】ハローワークの基本手当は税金ゼロ!退職した年の確定申告と還付金計算の制度・手続きイメージイラスト

雇用保険法第12条に定められた「公課の禁止」

雇用保険法は、失業中の生活を保障する目的から、失業等給付に税金や社会保険料などの公課を課さないことを明確に定めています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
雇用保険法第12条(公課の禁止)は次のように定めています。
『租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。』
出典:雇用保険法第12条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116

条文をそのまま実務の形に落とし込むと、次のようになります。

【失業保険(雇用保険の基本手当)の税務上の取り扱い】

① 所得税・住民税完全非課税(0円)。税務上の年収・所得は
「0円」として扱う
② 確定申告書への記入記入不要。失業保険の受給額を書く欄自体が
申告書に存在しない
③ 配偶者の税金の扶養
(配偶者控除)
失業保険をもらっていても、配偶者控除・
配偶者特別控除の対象に入れる

ただし「社会保険(健康保険証の扶養)」については話が別です。失業保険の日額が3,612円以上になると、健康保険組合の扶養認定基準では収入とみなされ、扶養から外れてしまうという運用が一般的です。税金の扶養と社会保険の扶養は判定基準がまったく別物なので、この2つを混同しないよう注意してください。

【現場のリアル】確定申告書のどこに失業保険を書けばいいのか分からず、税務署に電話した話

会社都合退職で失業保険を受給しながら、年明けに初めて確定申告書を作成していた方から聞いた話です。国税庁の確定申告書等作成コーナーで源泉徴収票の金額を入力し終えたあと、画面のどこにも失業保険の受給総額を入力する欄が見当たらず、「これは自分が見落としているだけで、どこかに雑所得か何かで入力する項目があるはずだ」と思い込み、30分近く操作履歴を行ったり来たりしていたそうです。最終的に埒が明かず、税務署の電話相談センターに問い合わせたところ、「失業給付は非課税なので、申告書には一切記載しません。書く欄がないのが正しい状態です」とあっさり回答されました。「書かなくていいと分かるまでの30分が、地味に一番疲れた作業だった」と振り返っていました。念のため、というだけで確認の電話をかける価値は十分にある実例です。


2. 年の途中で退職した人が確定申告すると税金が戻る理由

サラリーマンの毎月の給料から天引きされている所得税は、その人が1年間(12ヶ月)同じ給料で働き続けることを前提に、月ごとに概算で前払いされている税額です。年の途中で退職すると、その年の実際の年収が当初の見込みより少なくなるため、天引きされていた所得税が本来納めるべき額より多くなっているケースがほとんどです。

国税庁もこの点について、中途退職者向けのタックスアンサーで還付を受けられることを明記しています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」では、次のように案内されています。
『年の中途で退職した後就職しなかった場合には、年末調整を受けていないので、給与の支払者が年末調整をしないで作成した源泉徴収票を確定申告書に添付し、確定申告をすることで、納め過ぎの税金がある場合には還付を受けることができます。』
出典:国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1910.htm

還付申告そのものについても、国税庁は提出できる期間を次のように定めています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.2030 還付申告」では、還付申告の提出時期について次のように説明されています。
『還付申告書は、その年の翌年1月1日から5年間、提出することができます。』
出典:国税庁「No.2030 還付申告」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm

つまり、退職した年にすぐ動けなくても、翌年1月1日から5年間はさかのぼって還付申告ができます。焦って年内に何とかしようとする必要はありませんが、還付されるお金をそれだけ長く国に預けたままにしておくのはもったいない話でもあります。

具体的な還付額のイメージを、8月に退職したAさんのケースで見てみます。

【確定申告による税金キャッシュバックの実例(8月退職のAさん)】
・1月〜8月までの給与総額     : 320万円
・給料から天引きされていた所得税 : 約 75,000円
・退職後に支払った国民健康保険・年金: 約 250,000円

【年明け確定申告で再計算した結果】
・年収320万円に対する本来の所得税: 約 15,000円
・すでに前払いしていた所得税   : 約 75,000円

---

 差額の約60,000円が、確定申告後にAさんの銀行口座へ現金で一括還付される

確定申告をせずに放置すると、払いすぎていたこの数万円から十数万円は、そのまま国に取られた状態で終わってしまいます。

【現場のリアル】税務署の還付申告相談会場に行った時の様子

10月末に自己都合で退職し、年明けから失業保険を受給していた方の話です。確定申告のやり方をネットで調べてもいまひとつ自信が持てず、思い切って最寄りの税務署に足を運んだそうです。平日の午前中だったにもかかわらず、還付申告の相談窓口には整理券を持った人が20人ほど並んでいて、待合スペースには「相談時間はお一人様20分程度」という貼り紙が出ていました。呼ばれるまで1時間ほど待ち、窓口では職員が源泉徴収票と国民健康保険の納付済額のお知らせ、それにマイナンバーカードを見ながら、備え付けのタブレット端末で確定申告書作成コーナーの画面をその場で一緒に操作してくれたといいます。「還付される金額は52,000円ほどですね」と画面に表示された瞬間、隣で待っていた別の相談者にも聞こえるくらいの声で「え、本当に戻ってくるんですか」と聞き返してしまったそうです。「自分で全部やろうとすると不安だったが、窓口だと源泉徴収票の見方から教えてもらえるので、待ち時間さえ我慢すれば一番確実だった」と話していました。混雑を避けたい場合は、税務署が公表している相談会場の予約制度や、比較的空いている午後の時間帯を狙うのがコツのようです。


3. 退職した年の確定申告に必要な4大書類

【失業保険と年末調整】ハローワークの基本手当は税金ゼロ!退職した年の確定申告と還付金計算の計算・シミュレーションイメージイラスト

年明けに確定申告書を作成する際、手元に揃えておくべきものです。

【退職者の確定申告の4大必須書類】

① 前職の「給与所得の源泉徴収票」退職した会社から郵送された原本
② 国民年金の「社会保険料控除証明書」日本年金機構から11月頃に届くハガキ
③ 国民健康保険の納付済額のお知らせ自治体から届く通知、または領収書
④ マイナンバーカードと暗証番号スマホでe-Tax送信するために使用

退職後に自分で納めた国民健康保険料や国民年金保険料は、社会保険料控除として全額をその年の所得から差し引くことができます。国税庁のタックスアンサーでも、控除できる範囲が明確に示されています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1130 社会保険料控除」では、対象となる社会保険料と控除額について次のように説明されています。
『納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について、社会保険料控除として、その年分の総所得金額等から控除することができます。(中略)控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金から差し引かれた金額です。』
出典:国税庁「No.1130 社会保険料控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm

つまり、退職後に自腹で払った国保・国民年金の領収書は、単なる支払い記録ではなく、還付金を増やすための立派な控除資料です。捨てずに必ず手元に残しておいてください。家族の国民年金や国民健康保険を代わりに払ってあげた場合も、その分をまとめて自分の社会保険料控除に含められます。

【現場のリアル】退職して失業保険をもらいながら、確定申告のやり方が分からず半月調べ続けた話

契約満了で9月に退職し、初めて自分で確定申告をすることになった方の体験です。会社員時代は年末調整に必要な書類を人事部に出すだけで済んでいたため、確定申告という言葉自体になじみがなく、「還付申告」「準確定申告」「更正の請求」といった似た用語がネット検索で次々に出てきては、自分がどれに該当するのか分からなくなったといいます。国民健康保険の納付書と国民年金の納付書が退職の翌月にほぼ同時に自宅へ届いたことも重なり、「税金と社会保険料の手続きがいっぺんに押し寄せてきて、正直パニックになった」そうです。結局、国税庁のサイトで「No.1910」のページを見つけて中途退職者向けの還付申告に該当することが分かり、確定申告書等作成コーナーの案内に沿って源泉徴収票と国保・国民年金の金額を入力していったところ、思っていたより短い時間で申告書が完成したといいます。「制度の名前を先に理解しようとしたのが遠回りだった。源泉徴収票と納付書を用意して、作成コーナーの質問に答えていくだけで終わる作業だった」と話していました。


4. スマホで完結する退職者の確定申告(還付申告)の手順

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」をスマホで使う場合の流れです。マイナンバーカード読み取りに対応したスマホであれば、税務署に行かずに提出まで完了できます。

【スマホ申請のステップ】
ステップ1: スマホで「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、マイナポータル連携またはID・パスワード方式でログインする。
ステップ2: 前職の「源泉徴収票」をカメラで撮影し、金額を自動入力する。
ステップ3: 退職後に自分で支払った「国民健康保険料」と「国民年金保険料」の年間支払金額を入力する。
ステップ4: 画面に表示される「還付される金額」を確認する。
ステップ5: 還付金の振込先口座を入力し、マイナンバーカードでe-Tax送信して完了。

失業保険の受給額を入力する項目はどのステップにも出てきません。前述の通り非課税所得であるため、申告書上は存在しないものとして扱われます。


5. よくある質問

【失業保険と年末調整】ハローワークの基本手当は税金ゼロ!退職した年の確定申告と還付金計算の完了・申告イメージイラスト

Q1. 退職金をもらいましたが、確定申告で合算する必要がありますか。

退職時に会社へ「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、確定申告での合算は不要です。国税庁のタックスアンサーでも、この申告書の有無によって扱いが変わることが説明されています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」では次のように案内されています。
『「退職所得の受給に関する申告書」の提出がある場合には、退職金の支払者が所得税額及び復興特別所得税額を計算し、退職手当等の支払の際に、その所得税額及び復興特別所得税額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません。』
出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm

反対に、この申告書を提出していない場合は退職金の支払額から一律20.42パーセントが源泉徴収されるだけの状態になっているため、確定申告で精算しないと税金を払いすぎたままになる可能性があります。心当たりのある人は、退職金の明細に「退職所得の受給に関する申告書 未提出」といった記載がないか、念のため確認しておくと安心です。

Q2. 確定申告(還付申告)はいつから提出できますか。

還付申告は、通常の確定申告期間(2月16日から3月15日ごろ)を待つ必要はありません。前述の国税庁「No.2030 還付申告」の通り、退職した年の翌年1月1日から提出でき、5年以内であればさかのぼって申告できます。年末調整の混雑や3月の確定申告シーズンの混雑を避けたい場合は、1月中に済ませてしまうのも一つの手です。

Q3. 失業保険の受給額を、念のため申告書のどこかに書いておいたほうがいいですか。

書く必要はありません。雇用保険法第12条により失業等給付には公課を課すことができないと定められているため、確定申告書上は「収入がなかったもの」として扱われます。無理に雑所得の欄などに記入すると、かえって数字が合わなくなり訂正の手間が発生するので、失業保険はそもそも申告書に登場しないものと割り切ってください。


6. 確定申告をしないと発生する3つの損失

年の途中で退職した人が確定申告をせずに放置した場合に被る経済的な損失です。

【確定申告を放置した時の3つの損失】
1. 前職で天引きされていた所得税(数万円から十数万円)が戻ってこない。
2. 自分で払った国民健康保険料・国民年金保険料の控除が受けられない。
3. 翌年の住民税が正しく再計算されず、本来より高い住民税が請求されたままになる。

還付申告は義務ではなく任意の手続きです。裏を返せば、誰も催促してくれません。放置していても税務署からペナルティが来るわけではなく、ただ静かに、払いすぎた税金が戻ってこないまま5年の期限が過ぎていくだけです。

まとめ:退職した年は確定申告をして、払いすぎた税金を取り戻す

失業保険(雇用保険の基本手当)は、雇用保険法第12条により所得税・住民税ともに完全非課税で、確定申告書への記入も不要です。

一方で、年の途中で退職して年末調整を受けられなかった人は、国税庁「No.1910」が案内する通り確定申告(還付申告)をすることで、前職で天引きされていた税金の還付を受けられます。退職後に自分で納めた国民年金や国民健康保険も、社会保険料控除として全額を所得から差し引けるため、還付額はさらに大きくなります。

還付申告は退職した年の翌年1月1日から5年間提出できるので、慌てて年内に片づける必要はありません。とはいえ、源泉徴収票や国保・国民年金の納付書は時間が経つほど手元から散逸しがちです。落ち着いたタイミングで一度、書類を集めるところから始めてみてください。

年末調整や税金の手続きをスマートに解決したい方は、完全無料で使える「書けた年末調整」をご利用ください。

この記事を友達や同僚にシェアする

年末調整で迷っている方に役立つ情報を届けてみませんか?

🔍 お悩み・キーワード検索

他の年末調整の疑問・用語を調べる

全160本の解説コラムから、知りたい単語ですぐに見つけられます(入力すると下に即時表示されます)。

お悩み解決コラム一覧(全160記事)を見る 申告書作成ツール(するんと入力)をはじめる トップページへ戻る
記事URLをクリップボードにコピーしました!