給与年収2,000万円以下の会社員でも確定申告が必要になる「5つのケース」

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目次

「年収500万円くらいの普通の会社員だけど、自分にも確定申告の義務がある場合ってあるの?」

「会社が年末調整をしてくれているんだから、確定申告なんて自分には関係ないと思っていた」

日本のサラリーマンの多くは、確定申告は自営業やフリーランス、あるいは役員報酬が年収2,000万円を超えるような一部の富裕層だけがやる手続きだと思い込んでいます。

しかし、給与年収が2,000万円以下であっても、特定の条件に当てはまる会社員は、確定申告書を提出する法律上の義務を負います。もしこの義務に気づかず放置してしまうと、後日税務署から無申告加算税や延滞税という追加の税金を請求される事態にもなりかねません。

この記事では、年収2,000万円以下の会社員でも確定申告が必要になる5つのケースを、国税庁の公式情報をもとに整理し、実際によくある戸惑いの実例も交えて解説します。

【現場のリアル】フリマアプリとアフィリエイトの副収入が20万円を超えていた話

ある会社員の方は、休日に不用品をフリマアプリで売ったり、趣味で書いていたブログに広告を貼ってアフィリエイト収入を得たりしていました。金額は毎月数千円から多くて1万円程度で、本人としては「お小遣い稼ぎの延長」という感覚だったといいます。ところが年末に、同じように副業をしている知人と収入の話になった際、「それ、年間20万円を超えたら確定申告しないといけないんじゃなかったっけ」と指摘され、その場で青ざめたそうです。急いで一年分の売上を電卓で足し合わせてみると、フリマアプリの利益とアフィリエイト収入を合わせて25万円ほどになっており、確定申告の対象だったことに初めて気づいたといいます。普段は源泉徴収と年末調整だけで税金の手続きが完結していたため、自分で申告書を作るという発想そのものがなかったというのが、本人の率直な感想でした。


1. ひと目でわかる、年収2,000万円以下で確定申告が必要な5つのケース

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【サラリーマンで確定申告が「法律上の義務」になる5つのケース】

ケース①:副業所得が年20万円超クラウドソーシング、ブログ、物販、
不動産、暗号資産等の利益が20万超
ケース②:2箇所以上の給与(Wワーク)メイン以外の勤務先での給与収入が
年間20万円を超えている人
ケース③:年の途中で退職した人会社を退職後、再就職せずに12月31日
を迎えた人(年末調整未済)
ケース④:同族会社の役員・親族勤務先会社から給与のほかに家賃や貸
付金の利息等を受け取っている人
ケース⑤:退職金の申告書未提出者退職金受給時に申告書を出さず、
一律20.42%の税金を引かれた人

この5つのケースの根拠になっているのが、国税庁が公表しているタックスアンサーです。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」では、給与所得者のうち確定申告が必要な人の条件として、次のように説明されています。
『給与の収入金額が2,000万円を超える人』
『給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人』
『給与を2か所以上から受けていて、かつ、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える人』
このほか、同族会社の役員やその親族等で、その同族会社から給与のほかに貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている場合、災害減免法の適用を受けて源泉徴収の猶予等を受けている場合、給与の源泉徴収義務のない者から給与の支払を受けている場合、退職所得について正規の方法で計算した税額が源泉徴収された税額より多くなる場合も、確定申告が必要な人として挙げられています。
出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm

このタックスアンサーの土台になっている法律が、所得税法第121条です。

【e-Gov法令検索・根拠条文】
所得税法第121条(確定所得申告を要しない場合)は、その年において給与所得を有する居住者で、その年中に支払を受けるべき給与等の金額が2,000万円以下であるものについて、一定の要件を満たす場合に限り、その年分の所得税について確定申告書の提出を要しない旨を定めています。会社員の多くが年末調整だけで税金の手続きを終えられるのは、この条文が前提になっているためで、逆にいえばこの条文の要件から外れた瞬間に、原則どおり確定申告書を提出する義務が生じます。
出典:e-Gov法令検索「所得税法」(昭和40年法律第33号)第121条 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033

2. 5つのケースを一つずつ確認する

ケース①:給与以外の副業所得が「年間20万円」を超えている人

Webライティング、せどり、動画投稿、アフィリエイト、株式の売買(一般口座)、暗号資産の売却益などの「収入から経費を引いた金額」が年間20万円を超えた場合は、確定申告が必要になります。フリマアプリでの不用品の売却のように「生活用動産の譲渡」にあたるものは原則非課税ですが、継続的に仕入れて転売しているような場合は事業所得や雑所得として扱われるため、金額次第で申告義務が発生する点に注意が必要です。

ケース②:Wワークでサブ先の給与が「年間20万円」を超えている人

メインの勤務先とは別に、居酒屋やコンビニなどのサブの勤務先から得た給与収入が年間20万円を超えている場合は、メインの勤務先での年末調整だけでは手続きが完結しません。国税庁のタックスアンサーが示すとおり、2か所以上から給与を受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額とその他の所得金額との合計が20万円を超える人は、確定申告で2社分を合算して申告する義務があります。

【現場のリアル】居酒屋のバイトを掛け持ちしていて年末調整だけで終わると思い込んでいた話

正社員として働きながら、週末だけ近所の居酒屋で厨房のバイトをしていたという方の話です。本人は「メインの会社で毎年12月に年末調整の書類を出しているし、それで税金の手続きは全部終わっているはずだ」と思い込んでいて、居酒屋の給与についてはとくに何も手続きをしていませんでした。ところが確定申告の時期にたまたま同僚から「掛け持ちしてる分の給与、年末調整に含まれてないでしょう、それ別で申告いるはずだよ」と言われ、初めて自分がメインの勤務先の分しか年末調整されていないことに気づいたそうです。慌てて居酒屋からもらった源泉徴収票を引っ張り出して金額を確認したところ、年間の給与収入が22万円ほどになっていて、対象になることが判明しました。本人いわく「年末調整の書類を書けば、それで全部完了するものだと思い込んでいた」とのことで、複数の勤務先がある場合は年末調整と確定申告が別物だと知らないまま何年も過ごしている人は少なくないだろうと振り返っていました。

ケース③:年の途中で退職し、年内に再就職しなかった人

10月に会社を辞めてそのまま転職活動中、あるいは無職の期間があった人は、会社で年末調整を受けられていません。1月から退職月までの給与から天引きされていた所得税は、1年間働き続けることを前提にした金額で計算されているため、実際には払いすぎになっているケースがほとんどです。この場合は確定申告の義務というより、確定申告をすることで納めすぎた税金の還付を受けられる立場になります。

ケース④:同族会社の役員・親族で、会社から家賃や利息を得ている人

オーナー企業や同族会社において、役員や役員の親族が個人所有の不動産をその会社に貸して賃料を受け取っている場合、あるいは会社への貸付金の利子を受け取っている場合は、金額の多寡にかかわらず確定申告が必要とされています。これは、経営陣とその親族が会社との取引を通じて所得を移転する形になりやすいため、通常の給与所得者よりも申告義務の要件が厳しく設定されているためです。

ケース⑤:退職金で一律20.42%の源泉徴収をされた人

会社を退職する際、「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出していれば、退職所得控除が適用された正しい税額が源泉徴収され、原則として確定申告は不要です。ところがこの申告書を提出しなかった場合は、退職所得控除が適用されないまま、退職金の支払金額に一律20.42パーセントの所得税および復興特別所得税がかかります。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」では、退職所得の受給に関する申告書を提出した場合と提出しなかった場合の違いについて、次のように説明されています。
申告書を提出した場合は、退職金等の支払者が退職所得の金額に応じた所得税額および復興特別所得税額を計算して源泉徴収するため、原則として確定申告は不要です。一方、申告書を提出しなかった場合は、退職金等の支払金額の20.42パーセントの所得税額および復興特別所得税額が源泉徴収されます。この場合、受給者本人が確定申告を行うことで所得税額および復興特別所得税額の精算を行うことになります。
出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm

【現場のリアル】「退職所得の受給に関する申告書」の存在を知らず、天引き額の多さに驚いた話

長年勤めた会社を早期退職の制度を使って辞めた方の話です。退職金の振込額を見て、想定していたよりもかなり少ないことに驚き、経理に電話をして確認したところ「退職所得の受給に関する申告書を提出されていなかったので、一律で20.42パーセント引かせていただいています」と言われたそうです。本人は退職の手続き自体は総務からもらった書類一式を淡々と提出しただけで、その中に退職所得控除を受けるための申告書が含まれていたことにまったく気づいていなかったといいます。経理担当者から「確定申告をすれば、勤続年数に応じた退職所得控除が反映されて、引かれすぎた分は還付されますよ」と説明を受け、翌年の確定申告でようやく本来の税額との差額を取り戻せたとのことでした。退職の手続きは書類の種類が多く、どれが税金に直結する重要書類なのか案内されないまま流れ作業的に署名してしまいがちで、退職金の天引き額を見て初めて重要性に気づくという順序になりやすい話です。


3. 「申告義務」と「還付申告」の違い

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サラリーマンの確定申告には、法律上の義務として提出しなければならないものと、提出しなくても罰則はないが提出しないと本人が損をするだけのものの、2種類があります。

【確定申告の2つの区分】

① 申告義務
(3月15日締切・罰則あり)
・副業所得が20万円超の人
・サブ先給与が20万円超の人
・同族会社役員で家賃等を受け取る人
② 還付申告(任意)
(5年間いつでも提出可能)
・医療費控除、住宅ローン控除(1年目)
・年の途中で退職した人、ふるさと納税

医療費控除や住宅ローン控除1年目、年の途中で退職した人の還付申告は、申告しなくても罰則を受けることはありません。ただし本来戻ってくるはずの税金が戻ってこないまま終わるため、実質的には「申告しないと損をする」手続きだといえます。


4. 申告を放置するとどうなるか 無申告加算税と延滞税

副業所得やWワークの給与が申告基準を超えているのに、そのことに気づかないまま、あるいは分かっていながら申告をせずに放置してしまうと、無申告加算税と延滞税という2種類の税金が追加でかかります。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」では、期限内に確定申告をしなかった場合について、次のように説明されています。
期限内申告を忘れた場合はできるだけ早く申告するようにし、この場合の申告は期限後申告となります。期限後申告をした場合には、原則として、納める税金のほかに無申告加算税が課されます。ただし、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、納付すべき税金に5パーセントの割合を乗じた金額の無申告加算税がかかります(調査の事前通知を受けてから申告した場合や、調査を受けてから申告した場合は、この割合よりも高くなります)。また、期限後申告によって新たに納める税金がある場合は、法定納期限の翌日から納付の日までの延滞税をあわせて納付する必要があります。
出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm

延滞税の割合は年によって見直されており、直近の水準は次のとおりです。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.9205 延滞税について」では、延滞税の割合について、納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間は年2.4パーセント(令和4年1月1日から令和7年12月31日までの期間)、令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間は年2.8パーセントとされ、納期限の翌日から2か月を経過した日以後の期間については、令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間で年9.1パーセントの割合になると説明されています。
出典:国税庁「No.9205 延滞税について」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9205.htm

無申告加算税には軽減の仕組みもあり、法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、かつ納付すべき税金を期限までに全額納付していて、過去5年間に無申告加算税や重加算税を課されていない場合には、無申告加算税がかからない扱いになります。つまり、申告を忘れていたことに気づいた時点でできるだけ早く動くかどうかで、実際に負担する金額がかなり変わってきます。

【現場のリアル】税務署から「お尋ね」の封筒が届いて青ざめた話

副業でクラウドソーシングの仕事を数年間続けていたものの、確定申告をしないまま放置していたという方の話です。ある年の秋、自宅のポストに税務署からの封筒が届き、開けてみると「確定申告についてのお尋ね」と書かれていて、その場で血の気が引いたといいます。中身は、取引先が税務署に提出した支払調書などをもとに、収入があるのに申告が確認できないため事実関係を確認したいという内容でした。本人は「バレるはずがない」と思っていたわけではなく、単に忙しさにかまけて申告の存在を後回しにし続けていただけだったそうですが、実際に封筒が届いたことで、税務署はきちんと取引先からの資料を突き合わせて把握しているのだと実感したといいます。慌てて過去数年分の収支をまとめ、税理士に相談しながら期限後申告を行い、無申告加算税と延滞税を含めて納税を済ませたとのことでした。本人いわく「もっと早く自分から動いていれば、無申告加算税だけでも大きく変わっていたはずで、後回しにした分だけ余計な出費になった」というのが率直な感想でした。


5. よくある質問(Q&A)

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Q1. 確定申告の期限(3月15日)を過ぎてしまったらどうなりますか。

A. 申告義務がある人は、1日でも早く期限後申告を行ってください。税務署から指摘される前に自主的に提出すれば、無申告加算税は原則5パーセントに軽減されます。

Q2. 医療費控除を受けたいだけですが、これも義務ですか。

A. 義務ではなく還付申告です。申告しなくても罰則はありませんが、税金が戻ってこないため損をします。

Q3. 副業の収入が20万円をわずかに超える程度でも申告は必要ですか。

A. 必要です。20万円という基準は「超えたら申告」というラインであり、超過額の多寡は問いません。1円でも超えていれば申告義務の対象になります。


6. 【チェックフロー】あなたは確定申告が必要か、1分自己診断チャート

### 確定申告・要否診断フローチャート
- Q1:副業・投資・不動産の利益が年間20万円を超えているか
- [はい]→【確定申告が法律上の義務】
- [いいえ]→ Q2へ進む
- Q2:今年、年の途中で会社を退職して無職・未就職の期間があるか
- [はい]→【確定申告をすれば税金が戻ってくる(還付申告推奨)】
- [いいえ]→ Q3へ進む
- Q3:医療費が10万円超、またはマイホーム1年目、6自治体以上ふるさと納税か
- [はい]→【確定申告で還付金を受け取れる可能性】
- [いいえ]→【会社の年末調整だけで手続き完了】

まとめ:確定申告が必要な条件を確認し、期限内に手続きしよう

副業所得が20万円を超える人、サブ先給与が20万円を超える人、同族会社の役員やその親族で家賃・利息を受け取っている人は、所得税法第121条に基づき確定申告が法律上の義務になる。申告義務がある人は毎年3月15日までにe-Taxまたは書面で申告する必要があり、放置すると無申告加算税と延滞税が追加でかかる。一方、医療費控除や住宅ローン控除1年目、年の途中で退職した人の還付申告は義務ではないが、申告しなければ本来戻るはずの税金が戻らないまま終わる。

自分が確定申告の対象かどうかを早めに見極めて、期日内に手続きを済ませておけば、後から慌てて税務署に問い合わせたり、無申告加算税を心配したりする必要がなくなります。

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