サブのバイト先(乙欄)で引かれた高い所得税を全額取り戻す「確定申告」のやり方

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目次

「週末にやっている単発バイトの給料明細を見たら、所得税が何千円も引かれていて手取りがすごく少ない」

「サブのバイト先で引かれた高い税金って、確定申告すれば本当に戻ってくるの」

本業のほかに副業アルバイトをしたり、複数のバイトを掛け持ちしている人が、給料明細を見るたびにため息をつくのが「乙欄(おつらん)」と呼ばれる区分での高い所得税天引きです。

サブのバイト先では、基礎控除などの税制優遇が一切考慮されない税額表(乙欄)で計算されるため、月数万円程度のわずかな給料であっても、容赦なく数%〜十数%もの所得税が天引きされます。

先に要点だけお伝えすると、このサブ先で引かれすぎている所得税は、年明け2月16日以降に税務署へ確定申告(スマホe-Taxでも可能)を行うことで、銀行口座へ現金で還付させることができます。掛け持ちワーカーにとって確定申告は、払いすぎていた数万円のお金を合法的に取り戻す手続きです。

この記事では、乙欄で税金が高額に引かれる仕組みから、国税庁の一次情報にもとづいた確定申告の要否の判断、スマホでの実際の入力画面の流れ、源泉徴収票をもらえない・なくした場合の対処法、そして具体的な還付シミュレーションまで、順番に整理しました。


1. なぜサブ先(乙欄)では税金が高く引かれるのか

サブのバイト先(乙欄)で引かれた高い所得税を全額取り戻す「確定申告」のやり方の制度・手続きイメージイラスト

給与から天引きされる所得税は、勤務先が国税庁の「源泉徴収税額表」にもとづいて計算しています。この税額表には甲欄と乙欄の区分があり、どちらが適用されるかで天引き額が大きく変わります。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.2511 税額表の種類と使い方」では、次のように説明されています。
『「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与については「甲欄」を、その他の人に支払う給与については「乙欄」を使って税額を求めます』
出典:国税庁「No.2511 税額表の種類と使い方」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2511.htm

扶養控除等申告書は、メインの勤務先1か所にしか提出できない決まりになっています。そのためサブ先では自動的に乙欄が適用され、次のような差が生じます。

【月収5万円のパート・アルバイトの場合】
・メインの職場(甲欄):基礎控除が加味されるため -> 所得税 0円
・サブの職場(乙欄) :控除が加味されないため -> 所得税 約1,500円が天引き

【月収10万円のパート・アルバイトの場合】
・メインの職場(甲欄):所得税 720円
・サブの職場(乙欄) :所得税 7,300円(甲欄の約10倍)

乙欄が高いこと自体は税額表どおりの正しい計算であり、会社側のミスではありません。ただしこの金額は「本来納めるべき年間の税額」よりもかなり多めに前払いさせられている状態にあり、後述する確定申告によって精算する仕組みが用意されています。


2. 確定申告は「義務」なのか「任意の還付申告」なのか

ここが混同されやすいポイントです。掛け持ちバイトの確定申告には、法律上の提出義務がある場合と、義務はないが任意で行うと得をする場合の2パターンがあります。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」では、確定申告が必要な人の条件のひとつとして、次のように説明されています。
『給与を2か所以上から受けていて、かつ、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額との合計額が20万円を超える人』
出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm

つまり、サブ先の年収(年末調整されなかった給与)が20万円を超える場合は、確定申告をしなければならない義務が発生します。

一方で、サブ先の年収が20万円以下で申告義務がない場合でも、乙欄で天引きされた所得税を取り戻すための申告はできます。これは「還付申告」と呼ばれ、義務のある確定申告とは別枠で扱われます。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.2030 還付申告」では、還付申告書の提出期間について次のように説明されています。
『還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます』
出典:国税庁「No.2030 還付申告」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm

義務のある確定申告は3月15日までに提出する必要がありますが、還付申告は5年間いつでも提出できます。サブ先の年収が20万円以下で申告義務がなかった年でも、過去5年分までさかのぼって還付申告をすれば、乙欄で引かれすぎていた税金を取り戻せます。

【義務のある確定申告と、任意の還付申告の違い】

サブ先の年収が20万円超確定申告の義務あり(翌年3月15日までに提出)
サブ先の年収が20万円以下申告義務なし。ただし還付申告で天引き分を
取り戻せる(翌年1月1日から5年間いつでも可)

3. 確定申告で税金が戻ってくるメカニズム

サブのバイト先(乙欄)で引かれた高い所得税を全額取り戻す「確定申告」のやり方の計算・シミュレーションイメージイラスト

確定申告(または還付申告)を行うと、税務署のシステムがメイン先とサブ先の給与を合算し、1年間の本当の所得に対する正しい税額を再計算します。

### 確定申告による税金精算の仕組み
- ① メイン先とサブ先の給与を合算して「本来納めるべき1年分の正しい税額」を算出
- ▼
- ② サブ先で天引きされていた所得税と比較する
- ▼
- ③ 差額(引かれすぎていた分)が、口座へ振り込まれる

放置してしまうと、払いすぎていた税金は還付されないまま時間だけが過ぎていきます。還付申告の期限(翌年1月1日から5年間)を過ぎると、その年の分は取り戻せなくなるため注意が必要です。

【現場のリアル】還付金が振り込まれて「本当に来た」と二度見した話

飲食店の正社員として働きながら、週末だけ配送のスポットバイトを掛け持ちしていた方から聞いた話です。給料明細を見るたびに数千円単位で引かれる所得税が気になっていたものの、確定申告は難しそうだからと3年ほど放置していたそうです。ある年の2月、思い切ってスマホで作成コーナーを開き、源泉徴収票を2枚とも読み込ませたところ、画面に「還付される税額」として3万円を超える数字が表示され、最初は入力ミスだと思って一度アプリを閉じたといいます。翌週、記帳のために立ち寄ったATMで通帳に見慣れない振込金額が印字されているのを見て、「本当に振り込まれるんだ」と声が出そうになったと振り返っていました。それまで確定申告を面倒な手続きだと思い込んでいたぶん、実際に現金が戻ってきた実感は大きかったそうです。


4. 確定申告に必要な準備物

申告を始める前に、手元に次のものを揃えます。

【確定申告の必須アイテム】

① メイン先の源泉徴収票年末調整済みの原本(12月〜1月に受領)
② サブ先の源泉徴収票乙欄と記載された原本(バイト先から受領)
③ 還付金を受け取る銀行口座自分名義の通帳またはキャッシュカード
④ マイナンバーカードと暗証番号スマホでe-Tax送信する場合に使用

【現場のリアル】サブ先が源泉徴収票をなかなか出してくれず困った話

学習塾の講師をメインにしながら、コンビニで深夜バイトを掛け持ちしていた方の話です。確定申告のためにコンビニの店長へ「源泉徴収票をください」と申し出たところ、「そういうのは本部からしか出せないので、少し待ってください」と言われたきり、2週間ほど連絡が来なくなってしまったそうです。1月中に手続きを終わらせたかったこともあり、思い切ってフランチャイズの本部お問い合わせ窓口に直接電話をかけ、「確定申告に使うので、勤務していた店舗の源泉徴収票を発行してほしい」と伝えたところ、その場で店舗コードと在籍期間を確認され、1週間ほどで自宅に郵送されてきたといいます。店長個人に頼るよりも、給与計算を実際に行っている本部や労務担当の窓口に直接連絡したほうが早く解決することもある、という実例です。

サブ先の店舗に何度連絡しても発行してもらえない場合は、給与を実際に支払っている本部・労務担当の窓口に問い合わせる、それでも進まない場合は最寄りの税務署に相談する、という順番で動くと解決が早まります。


5. スマホでの実際の入力画面の流れ

サブのバイト先(乙欄)で引かれた高い所得税を全額取り戻す「確定申告」のやり方の完了・申告イメージイラスト

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/smsp/top)を使えば、スマホ1台で申告書の作成から送信まで完結します。実際の画面遷移は次のような流れになります。

【スマホ申請の画面遷移】
1. 「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」をタップ
2. 提出方法の選択画面で「マイナンバーカード方式(e-Tax)」を選び、
マイナンバーカードをスマホにかざして読み取り、利用者証明用電子証明書の
パスワードを入力してログイン
3. 「所得税」の作成画面に進み、「給与所得」の入力欄をタップ
4. 「源泉徴収票をカメラで読み取りますか」という案内が出るので、
1枚目(メイン先)の源泉徴収票をスマホカメラで撮影
-> 支払金額・源泉徴収税額・社会保険料等の数字が自動で入力される
5. 入力内容の確認画面で「もう1件入力する」を選び、
2枚目(サブ先・乙欄)の源泉徴収票を同じ手順で撮影・入力
6. 2件分の給与が合算された「還付される金額」が画面に表示される
7. 還付金の振込先口座(銀行名・支店名・口座番号)を入力
8. 最終確認画面で内容をチェックし、マイナンバーカードで電子署名して送信

自動入力機能はあくまで読み取り補助のため、金額欄が正しく反映されているかは送信前に必ず自分の目で見比べて確認してください。手書きの源泉徴収票や、印字がかすれている場合はカメラでうまく読み取れないことがあり、その場合は画面の指示に従って手入力に切り替えます。

【現場のリアル】初めての確定申告が拍子抜けするほど簡単だった話

コールセンターの契約社員として働きながら、月に数回だけ試験監督のアルバイトを引き受けていた方の話です。周囲から「確定申告は難しい」「税務署に行かないといけない」と聞かされていたため、平日休みを1日つぶして税務署の窓口に行くつもりで身構えていたといいます。ところが会社の同僚に「スマホでできるらしいよ」と教えられ、試しに夜のうちに作成コーナーを開いてみたところ、源泉徴収票をカメラで撮影するだけで金額欄がほとんど自動で埋まり、入力自体は15分もかからずに終わってしまったそうです。「身構えていた分、拍子抜けした」と話しており、翌年からは源泉徴収票が2枚そろい次第、休日を待たずにその場で申告を済ませるようになったといいます。


6. 源泉徴収票をなくした・もらえない場合の対処法

源泉徴収票を紛失した場合や、退職済みのバイト先で発行してもらえない場合でも、確定申告をあきらめる必要はありません。

まず紛失した場合は、給与を支払っていた勤務先(メイン先・サブ先いずれも)に「確定申告に使うので源泉徴収票を再発行してほしい」と連絡します。給与計算のデータは通常数年分保管されているため、多くの場合は再発行に対応してもらえます。

勤務先が倒産・閉店していて連絡が取れない場合は、手元にある給与明細(総支給額・源泉徴収税額が分かるもの)を全月分そろえたうえで、最寄りの税務署の窓口に相談してください。給与明細と、給与が振り込まれていた通帳の入金履歴があれば、源泉徴収票がなくても確定申告書の作成に応じてもらえます。会社側に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する制度もあり、税務署から会社へ交付を促す連絡を入れてもらうことも可能です。

なお、マイナンバーカードを持っていてマイナポータルと連携している場合、勤務先が電子的に源泉徴収票の情報を提供していれば、確定申告書等作成コーナー上でその情報を自動取得できることがあります。ただしすべての勤務先が対応しているわけではないため、紙の原本を保管しておくのが確実です。


7. ケーススタディ:確定申告で実際に還付を受けたAさんの例

【フリーターAさん(20代)の年間収入】
・メインのカフェ(甲欄):年間給与 120万円(年末調整済み・所得税0円)
・サブのイベント警備(乙欄):年間給与 40万円(乙欄天引きで所得税 約35,000円)

【確定申告の結果】
・年間の合計年収:160万円(基礎控除等の適用により、本来の所得税は約8,000円)
・すでに前払いしていた所得税:約35,000円

---

-> 差額の約27,000円が、申告後3週間ほどでAさんの口座に振り込まれた

Aさんの場合、サブ先の年収が40万円で20万円を超えているため、この年は確定申告の義務があるケースにあたります。仮にサブ先の年収が15万円程度だったとしても、乙欄で天引きされている所得税がある以上、義務ではなく任意の還付申告として同じ手続きを行えば、同様に差額が戻ってきます。


8. 源泉徴収票のチェックポイント

サブ先からもらった源泉徴収票を確認する際、注目すべき3か所です。

「乙欄」の記載またはチェックがあるかどうかは、高い税率で天引きされていたことの目印になります。「支払金額」にはサブ先で稼いだ総支給額が、「源泉徴収税額」にはすでに天引きされた所得税額が記載されており、この源泉徴収税額こそが確定申告によって戻ってくる還付金の原資になります。


9. よくある質問(Q&A)

Q1. サブのバイト先が源泉徴収票をくれません。

給与の支払者には源泉徴収票を交付する義務があります。店舗の担当者に反応がない場合は、本部や労務担当の窓口に「確定申告で使うので発行してほしい」と直接連絡すると解決が早いことが多いです。それでも進まない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」の提出を相談してください。

Q2. 過去の年の分もさかのぼって取り戻せますか。

はい。前述のとおり、還付申告は翌年1月1日から5年間提出できます。過去の源泉徴収票が手元に残っていれば、今からでも申告して取り戻すことができます。手元に残っていない場合は、勤務先への再発行依頼や、税務署への相談で対応できる場合があります。

Q3. サブ先の年収が20万円以下なら申告しなくてもいいですか。

申告の義務はありません。ただし乙欄で所得税が天引きされている場合、申告をしなければその税金は戻ってきません。義務がなくても、還付申告として手続きすれば差額を取り戻せます。

Q4. マイナンバーカードを持っていません。スマホでの申告はできませんか。

マイナンバーカード方式が利用できない場合でも、税務署で発行されるID・パスワード方式でスマホやパソコンから申告書を作成し、印刷して税務署に持参・郵送する方法があります。詳しくは最寄りの税務署に確認してください。


まとめ

サブの職場(乙欄)では、扶養控除等申告書をメイン先にしか提出できない仕組み上、本来よりも多めの所得税が天引きされています。サブ先の年収が20万円を超える場合は確定申告の義務があり、20万円以下でも還付申告として翌年1月1日から5年間手続きができるため、いずれの場合でも天引きされた税金は取り戻せます。

スマホと源泉徴収票が2枚そろえば、作成コーナーのカメラ読み取り機能を使って短時間で申告を終えられます。源泉徴収票がもらえない、なくしてしまったという場合も、勤務先への再発行依頼や税務署への相談で対応できるため、面倒だと後回しにせず、まずは手元の書類を確認するところから始めてみてください。

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