会社が年末調整を行わないことも、源泉徴収票を発行しないことも、正当な理由がない限り所得税法違反にあたる。会社に「年調未済」の源泉徴収票を発行させたうえで、年明けに自分で確定申告をすれば、払いすぎた税金は還付金として全額口座に戻ってくる。
「社長から『うちは面倒だから年末調整やってないよ。自分で確定申告して』と言われた」
「会社が年末調整をしてくれないのは違法なのか。源泉徴収票もくれない時はどうすればいいのか」
零細企業、個人商店、家族経営の会社、一部のブラック企業に勤務するサラリーマンやパートから、毎年こうした相談が寄せられる。従業員が数人しかいない会社ほど「うちは小さいから」「経理担当がいないから」という理由で年末調整そのものを省略しているケースが実際に多い。だが、この記事で確認する条文の通り、会社の規模や従業員数に関係なく、年末調整と源泉徴収票の発行は法律上の義務であり、会社の都合で省略してよいものではない。
この記事では、会社側の年末調整義務と源泉徴収票交付義務の法的根拠、会社が動かない時の3段階の対処手順、税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する具体的な流れ、そして年明けの確定申告で税金を全額回収する方法まで、根拠条文と実際にあったやり取りを交えて整理する。
1. 年末調整の未実施と源泉徴収票の不交付はどちらも所得税法違反にあたる

会社が年末調整をしないことは所得税法第190条違反、源泉徴収票を発行しないことは同法第226条違反であり、いずれも第242条の罰則(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)の対象になる。
所得税法第190条が定める年末調整の実施義務
第190条は、扶養控除等申告書を提出した従業員について、その年最後の給与支払の際に源泉徴収税額と本来の税額を比較し、差額を精算することを会社に義務づけている。従業員数や会社の規模による適用除外の規定はない。
【e-Gov法令検索・1次情報】
所得税法第190条(年末調整)は、次のように定めています。
「給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で(中略)その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合(中略)において、(中略)所得税の額の合計額がその年最後に給与等の支払をする時の現況により計算した(中略)税額に比し過不足があるときは、その超過額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収すべき所得税に充当し、その不足額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収してその徴収の日の属する月の翌月十日までに国に納付しなければならない。」
出典:所得税法第190条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
条文が定めているのは、単なる事務作業の推奨ではなく、精算した不足額を「翌月十日までに国に納付しなければならない」という具体的な期限つきの義務である。会社が「面倒だからやらない」と判断できる余地は条文上どこにもない。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁 タックスアンサー「No.2662 年末調整のしかた」において、次のように案内されています。
『年末調整の対象となる人は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人です(給与収入が2,000万円を超える人などは対象外)。会社など給与の支払者は、役員または使用人に対して給与を支払う際に所得税および復興特別所得税の源泉徴収を行っており、年末調整はその年最後の給与を支払う際に、源泉徴収をした税額の合計額と年税額とを比べ、その過不足額を精算するものです。』
出典:国税庁 タックスアンサー「No.2662 年末調整のしかた」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2662.htm
つまり年末調整は「会社が任意でやってあげているサービス」ではなく、扶養控除等申告書を出した従業員全員に対して、給与の支払者自身が果たすべき精算作業として国税庁が明確に位置づけている業務である。
所得税法第226条が定める源泉徴収票の交付義務
第226条は、年末調整をしたかどうかにかかわらず、その年の翌年1月31日まで(退職者は退職の日以後1ヶ月以内)にすべての従業員へ源泉徴収票を交付するよう会社に義務づけている。
【国税庁の公式見解・1次情報】
所得税法第226条第1項は、次のように交付義務を定めています。
「給与等の支払をする者は(中略)その年において支払の確定した給与等について、その給与等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票二通を作成し、その年の翌年一月三十一日まで(年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後一月以内)に、一通を税務署長に提出し、他の一通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。」
出典:所得税法第226条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
つまり、会社が年末調整の計算をしていなくても、源泉徴収票そのものは発行義務の対象から外れない。年末調整をしていない場合は「年調未済」の源泉徴収票を発行させ、その後の精算を自分で確定申告に回すのが正しい流れになる。
違反した場合は所得税法第242条により罰則が科される
年末調整の徴収義務(第190条)を怠った場合も、源泉徴収票を交付しなかった場合(第226条)も、第242条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になる。
【国税庁の公式見解・1次情報】
所得税法第242条は、次の各号のいずれかに該当する者は一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金に処すると定めています。
三号「第百八十一条(中略)、第百九十条(年末調整に係る源泉徴収義務)(中略)の規定により徴収すべき所得税を徴収しなかつた者」
六号「第二百二十五条第二項に規定する通知書若しくは第二百二十六条第一項から第三項までに規定する源泉徴収票をこれらの書類の交付の期限までにこれらの規定に規定する支払を受ける者に交付せず、若しくはこれらの書類に偽りの記載をして当該支払を受ける者に交付した者」
出典:所得税法第242条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
※令和4年法律第67号(刑法等の一部を改正する法律)にもとづき、令和7年6月1日以降は「懲役」の呼称が「拘禁刑」に統一されています。
条文を整理すると、次の通りである。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 年末調整の実施義務(第190条) | 扶養控除等申告書を提出した全従業員について、年内最後の給与支払時に税額を精算する義務。会社の規模による除外規定はない |
| ② 源泉徴収票の交付義務(第226条) | 年末調整の有無にかかわらず、翌年1月31日まで(退職者は退職後1ヶ月以内)に全従業員へ交付する義務 |
| ③ 違反時の罰則(第242条) | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(第190条・第226条いずれの違反も対象) |
社長や経理担当者が「面倒くさいからやらない」「うちは少人数だからやっていない」と主張するのは、法的に一切通用しない言い訳である。
#### 【現場のリアル】社長から「うちはやってない」と言われて固まった話
従業員8人の印刷会社で事務を担当する20代の女性から聞いた話である。入社して初めての12月、終業時刻の18時を過ぎたころ、扶養控除等申告書をどう出せばいいのか分からず事務所に残っていた社長に尋ねたところ、「うちは小さい会社だから年末調整なんてやってないよ、自分で確定申告してね」とプリンターの音に紛れるような小声であっさり言われたという。
それまで年末調整は会社が当然やってくれるものだと思っていたため、「そんなことが許されるのか」と混乱し、その場では「分かりました」としか言えなかった。帰宅後、ワンルームのこたつでスマホを片手に調べているうちに、会社の規模を理由に年末調整を省略できるという規定はどこにも存在しないことに気づき、青ざめたそうだ。「怒ればいいのか、諦めればいいのか分からず、日付が変わるまでモヤモヤしていた」と振り返っていた。
結局この女性は、次章で説明する手順どおり、まず「年調未済」の源泉徴収票を発行してもらい、翌年の確定申告で数万円の還付を受け取ることになる。
2. 会社が年末調整をしてくれない時の3段階対処ステップ
会社と正面から揉めずに還付金を確実に取り戻すには、源泉徴収票の要求、税務署への届出、確定申告という3段階を順番に進めればよい。
| 段階 | やること |
|---|---|
| ステップ1 | 会社に「年調未済」の源泉徴収票の発行を要求する |
| ステップ2 | 会社が発行を拒否・無視した場合、税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する |
| ステップ3 | 発行された源泉徴収票(または給与明細)をもとに、自分で確定申告して還付金を受け取る |
ステップ1:会社に「年調未済」の源泉徴収票発行を求める
年末調整をしていなくても、源泉徴収票そのものは会社の交付義務の対象であるため、「年末調整はしなくていいので、年調未済のままの源泉徴収票だけ発行してください」とはっきり伝えるのが最初の一手になる。年末調整の実施自体を求めると総務側の負担が大きく渋られやすいが、単なる書類の発行であれば会社側の作業量は小さく、応じてもらいやすい。
ステップ2:拒否・無視されたら税務署へ届出書を提出する
会社が源泉徴収票の発行すら拒否・無視する場合は、次章で説明する「源泉徴収票不交付の届出書」を所轄税務署へ提出する。税務署から会社へ是正指導が入ることで、状況が動くケースが多い。
ステップ3:確定申告で払いすぎた税金を取り戻す
会社から書類を受け取れた時点で、年末調整の代わりに自分で確定申告を行う。会社が年末調整をしていない分、税金は多めに天引きされたままになっていることが大半のため、確定申告をすることで差額が還付金として戻ってくる。
#### 【現場のリアル】「年調未済でいいので」と伝えたら拍子抜けするほどあっさり通った話
美容室に勤める20代の女性の話である。オーナーから毎年「うちは自分でやってね」とだけ言われ、源泉徴収票すらもらえずにいた。ネットで調べて「年末調整の実施までは求めず、年調未済のままの源泉徴収票だけ発行してほしい」という言い方があると知り、休憩中のバックヤードで思い切ってオーナーに伝えてみた。
身構えていたのに、オーナーは「え、それだけでいいの。じゃあ今週中に出すよ」とあっさり応じたという。「年末調整をやってくれとお願いしていたら、また面倒くさがられて終わっていたと思う。書類一枚出すだけと伝えたのが良かったのかもしれない」と振り返っていた。数日後、レジ横で無言で手渡された源泉徴収票を見て、ようやく肩の力が抜けたそうだ。
3. 税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する

会社が源泉徴収票をどうしても発行してくれない場合、最寄りの税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出すれば、税務署から会社へ是正指導が入る。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」のページでは、この手続きについて案内があります。給与等の支払を受ける者が源泉徴収票の交付を受けられない場合、届出書を作成し、給与明細書等の写しがあればそれを添付のうえ、源泉徴収票を交付しない給与の支払者の所轄税務署長へ提出することで、随時この届け出を行うことができるとされています。
出典:国税庁「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100017.htm
届出書の提出から会社の対応が変わるまでの3ステップ
届出書の提出は、記入、添付書類の準備、税務署への提出という3ステップで完了する。
- 国税庁のサイトから様式をダウンロードするか最寄りの税務署で用紙を受け取り、「源泉徴収票不交付の届出書」に記入する
- 会社が源泉徴収票を交付していない理由の説明と、給与明細のコピーなど交付を求めても応じてもらえていないことが分かる資料を添付する
- 会社の所轄税務署へ提出する
届出書が受理され、税務署から会社へ連絡が入ると、罰則を恐れた会社側が速やかに源泉徴収票を作成・交付してくることが多い。
#### 【現場のリアル】税務署の窓口で「立派な法律違反です」と言われた話
家族経営の運送会社に10年以上勤めるパート女性の話である。毎年年末になると社長から「今年も自分で確定申告しといて」と言われ続け、疑問に思いながらも波風を立てたくなくて従ってきたという。
ところがある年の1月中旬、家計の見直しで還付金の存在を知人から教えられ、思い切って昼休みに最寄りの税務署の窓口へ相談に行った。整理券を取って15分ほど待ち、「10年以上、源泉徴収票をもらったことがないんです」と事情を話すと、対応した職員から「それは会社側の立派な法律違反ですよ」とはっきり言われ、拍子抜けするほど淡々と手続きを案内されたそうだ。その場のカウンターで「源泉徴収票不交付の届出書」を記入し、手元にあった給与明細のコピーを添えて提出した。
2週間ほど経った夕方、社長から本人の携帯へ直接電話があり、「税務署から連絡が来た、悪かった、今から用意する」と急に折れたという。「揉めるのが怖くて10年も我慢していたのに、書類一枚出すだけでこんなに簡単に動くとは思わなかった」と話していた。
4. 会社が源泉徴収した税金を滞納していた場合の従業員の責任
会社が天引きした所得税を税務署に納めていなくても、従業員が二重に税金を請求されることはない。所得税法第221条第1項により、納付すべき者、つまり会社本人から徴収するのが原則だからである。
所得税法第221条が定める徴収の原則
条文上「その者」とは所得税を徴収して納付すべき者、すなわち会社を指す。従業員本人が徴収の対象になる規定ではない。
【e-Gov法令検索・1次情報】
所得税法第221条第1項は、次のように定めています。
「第一章から前章まで(源泉徴収)の規定により所得税を徴収して納付すべき者がその所得税を納付しなかつたときは、税務署長は、その所得税をその者から徴収する。」
出典:所得税法第221条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
給与明細が滞納トラブルから身を守る証拠になる
給与明細に源泉徴収された記録があれば、会社が着服・滞納していたとしても、税務署が従業員へ追加で税金を請求してくることはない。滞納の責任を負うのは、あくまで徴収義務を怠った会社側であり、従業員が取るべき対応は毎月の給与明細を捨てずに保管しておくことだけである。
#### 【現場のリアル】経営が傾いた会社で「税金、大丈夫かな」と不安になった話
建設会社の事務員として働く40代男性の話である。会社の資金繰りが厳しくなっていることは社内の雰囲気で薄々感じていた。給湯室で先輩社員から「うちの社長、税金滞納してるらしいよ」と聞かされた時は、自分の給料から天引きされている所得税まで追徴されるのではないかと血の気が引いたという。
その晩、自宅で給与明細の束を引っ張り出し、源泉徴収税額の欄を一枚ずつ確認しながら「これさえ残っていれば大丈夫なはずだ」と自分に言い聞かせるように読み返した。翌週、念のため税務署へ電話で問い合わせると、担当者から「給与明細に天引きの記録があれば、従業員の方が二重に払うことはありません」と淡々と説明され、電話を切った瞬間に肩から力が抜けたそうだ。「聞くまでは夜も落ち着かなかった。給与明細を捨てずに全部残していた自分を初めて褒めたくなった」と話していた。
5. 確定申告で払いすぎた税金を取り戻す手順

今の会社が年末調整をしていない場合、年明け2月16日以降にスマホのe-Taxで確定申告をすれば、会社が年末調整をした場合と同じ額の還付金を受け取れる。
確定申告の準備から還付までの流れ
必要なのは、会社から受け取った源泉徴収票(または集計した給与明細)、生命保険料控除証明書など各種控除証明書、マイナンバーカードの3点である。国税庁の確定申告書等作成コーナーにこれらの数字を入力していけば、還付申告書が自動的に作成される。
- 源泉徴収票(年調未済のもの)と各種控除証明書を手元にそろえる
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーまたはスマホのe-Taxアプリで、給与所得や控除額を入力する
- 申告内容を確認し、還付先の口座を指定して送信する
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁 タックスアンサー「No.2030 還付申告」では、還付申告の提出期間について次のように定められています。
『還付申告書は、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。』
出典:国税庁 タックスアンサー「No.2030 還付申告」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
つまり「今年の確定申告の時期を逃した」「去年の分をうっかり忘れていた」という場合でも、5年以内であれば今からでも還付申告を提出できる。年末調整をしてもらえなかった年が数年前にあるという人も、あきらめずに過去分をさかのぼって申告してよい。
#### 【入力に迷ったら】源泉徴収票のどこを見て何を入力すればいいか
確定申告書等作成コーナーで最初につまずきやすいのは、源泉徴収票のどの数字をどの欄に入力すればいいか分からなくなる点である。年調未済の源泉徴収票でも、見るべき欄は同じである。
| 源泉徴収票の欄 | 作成コーナーでの入力先 |
|---|---|
| 支払金額(左上、太枠内) | 「給与所得」の収入金額欄にそのまま入力する |
| 源泉徴収税額(太枠の右側) | 天引きされた所得税額として自動的に集計され、還付額の計算に使われる |
| 社会保険料等の金額 | 社会保険料控除の欄に入力(別途証明書は不要) |
| 生命保険料の控除証明書に記載の金額 | 生命保険料控除の欄に、証明書はがきの数字をそのまま転記する |
支払金額欄と源泉徴収税額欄さえ正確に転記できれば、給与所得控除や基礎控除はシステム側が自動計算してくれるため、自分で税額を計算する必要はない。
#### 【現場のリアル】初めての確定申告で還付金を受け取った話
会社が年末調整を一切していないことに転職して初めて気づいた30代男性の話である。前の会社では毎年当たり前のように年末調整の書類を出していたが、今の会社では総務から何の案内もなく、12月になっても誰も声をかけてこなかった。
不安になって人事に聞くと「うちは各自で確定申告してもらってます」とだけ返され、拍子抜けしながらも自分で調べて確定申告書等作成コーナーを初めて開いた。2月の平日夜、リビングのテーブルでノートパソコンを開き、源泉徴収票の数字をどこに入力すればいいのか分からず何度も画面を行き来したが、生命保険料控除の証明書を入力し終えたところで、還付される金額が画面に表示された瞬間は「思っていたより数字が大きくて拍子抜けした」という。
申告から3週間ほどで指定した口座に還付金が振り込まれ、「毎年会社任せにしていた頃より、自分で数字を追った分だけ税金の仕組みが分かった気がする」と話していた。
6. よくある質問(Q&A)
年末調整と源泉徴収票の交付義務に会社規模による除外規定はなく、会社が税金を滞納していても責任は会社側が負い、e-Tax申告の還付金は3週間から1か月程度で振り込まれる。特に問い合わせの多い3点を以下にまとめる。
年末調整・還付金に関するよくある質問
特に検索されやすい疑問は、会社規模による適用除外の有無、税金滞納時の従業員の責任、還付金が振り込まれるまでの期間の3点である。
#### Q1. 従業員が数人しかいない会社でも、年末調整をする義務はありますか。
ある。所得税法第190条にも第226条にも、従業員数や会社の規模による適用除外の規定は存在しない。個人商店や家族経営の会社であっても、扶養控除等申告書を提出した従業員がいる限り、年末調整と源泉徴収票の交付は会社の義務である。
#### Q2. 会社が毎月天引きした所得税を税務署に納めていなかったらどうなりますか。
従業員に責任はない。給与明細で源泉徴収されていた事実があれば、会社が税金を滞納していても、所得税法第221条第1項により、税務署は納付義務者である会社から徴収するのが原則であり、従業員に対して二重に税金を請求することはない。
#### Q3. 自分で確定申告した場合、還付金はいつ振り込まれますか。
e-Taxで申告した場合、申告から3週間から1か月程度で指定口座へ振り込まれるのが目安である。書面提出の場合はこれよりやや時間がかかる。
7. 税務署・労働局の相談窓口を利用する
会社が年末調整も源泉徴収票の発行も一切受け付けない場合は、最寄りの税務署の窓口、または各都道府県労働局が設置する総合労働相談コーナーへ相談することで、専門の担当者から案内を受けられる。
税務署の窓口でできること
税務署では、前章までに説明した「源泉徴収票不交付の届出書」の記入相談や、確定申告そのものの作成相談を受け付けている。管轄税務署は国税庁サイトの「税務署の所在地などを知りたい方」で確認できる。
総合労働相談コーナーが役立つケース
給与の未払いなど労働条件そのものに関わる問題が併発している場合は、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーもあわせて利用すると、税務と労務の両面から状況を整理しやすくなる。相談は無料で、予約なしの当日相談に対応している労働局も多い。
| 相談先 | 主な役割 | 費用・予約 |
|---|---|---|
| 税務署の窓口 | 源泉徴収票不交付の届出書の記入相談、確定申告書の作成相談 | 無料、税務署により予約制の場合あり |
| 総合労働相談コーナー(都道府県労働局) | 給与未払い・不当な労働条件など税務以外の相談 | 無料、当日相談に対応する労働局が多い |
#### 【現場のリアル】どちらに相談すべきか分からずたらい回しになりかけた話
飲食店で働く30代女性の話である。年末調整をしてもらえないうえに残業代も曖昧なまま支払われていたため、何から相談すればいいのか分からず、まず労働局の総合労働相談コーナーに電話をかけた。担当者は残業代の相談には親身に応じてくれたが、源泉徴収票の話になると「そちらは税務署の管轄になります」と案内され、少し拍子抜けしたという。
その足で今度は税務署に電話をかけ直し、事情を一から説明するのが正直面倒に感じたそうだ。それでも税務署の担当者は「源泉徴収票の件はこちらで大丈夫ですよ」とすぐに引き取ってくれ、届出書の書き方まで丁寧に教えてくれた。「税務と労務は窓口が別だと最初に知っていれば、一度で済んだのに」と話していた。
まとめ:会社が動かなくても確定申告で税金は全額回収できる
会社の年末調整の未実施と源泉徴収票の不交付は、いずれも所得税法違反にあたる。まずは会社へ「年調未済」の源泉徴収票の発行を求め、拒否されたら税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する。会社が税金を滞納していたとしても、その責任を従業員が負うことはない。年明けに自分で確定申告をすれば、払いすぎた税金は還付金として口座へ全額戻ってくる。
会社の不当な対応に泣き寝入りする必要はない。手順を一つずつ踏めば、着実に自分のお金を取り戻せる。確定申告や年末調整の手続きをスマホで手早く終わらせたい方は、完全無料で使える「書けた年末調整」をご利用ください。